米デモ拡大、米経済再開に逆風 ナイキなど店舗閉鎖
デモ140都市、「第2波」で再封鎖リスク

2020/6/2 5:44 (2020/6/2 7:21更新)
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ディスカウントストア大手ターゲットの店舗では破壊・略奪の被害がでた(5月29日、ミネソタ州)=AP

ディスカウントストア大手ターゲットの店舗では破壊・略奪の被害がでた(5月29日、ミネソタ州)=AP

【ニューヨーク=野村優子】米国で白人警官の暴行による黒人死亡事件への抗議デモが急拡大し、経済活動の本格再開には逆風が吹いている。全50州が段階的に経済再開に動くなか、抗議デモは少なくとも140都市に広がり、破壊や略奪行為も深刻だ。一部の小売店が閉鎖に追い込まれているほか、新型コロナウイルスの感染「第2波」の懸念も強まっている。

抗議デモの暴徒化を受け、小売店の閉鎖が相次いでいる。スポーツ用品大手のナイキは、5月中旬から営業再開していた一部店舗を再び閉鎖した。ニューヨーク市マンハッタンの店舗は再開していなかったものの、店舗が破壊され、商品を略奪される被害を受けた。アディダスも全米の店舗を閉鎖するという。

米小売り最大手のウォルマートは数百店舗を閉鎖したほか、ネット通販大手アマゾン・ドット・コムは安全確保のため一部地域の配送ルートを変更したと報じられた。

ディスカウントストア大手ターゲットは、全米200店舗の営業時間を短縮し、ミネソタ州やイリノイ州などの6店舗を閉鎖。黒人死亡事件が起きたミネソタ州の店舗は、破壊・略奪の対象となった。

スポーツ用品大手ナイキの店舗前に集まるデモ参加者(1日、米カリフォルニア州)=ロイター

スポーツ用品大手ナイキの店舗前に集まるデモ参加者(1日、米カリフォルニア州)=ロイター

全米小売業協会(NRF)のマシュー・シェイ会長は1日、抗議デモの拡大を受けて声明を発表した。「一部の行動が店舗だけでなく、従業員や客をも危険にさらしている。抗議という名の下で略奪や破壊をすることをやめるように要請する」と危機感を示した。

大規模な抗議デモにより、新型コロナ感染の第2波が起きる懸念も広がっている。多くの抗議デモでは約2メートルのソーシャルディスタンス(社会的距離)が保たれず、マスクを着用していない参加者の姿も目立つ。南部ジョージア州アトランタの市長は「抗議デモに参加すれば新型コロナの検査を受けなければならないだろう」と述べた。

ニューヨーク州のクオモ知事は1日「州民の努力で感染が抑えられてきたにもかかわらず、抗議デモで人が集まり、再び感染が広がる懸念が生じている」と指摘した。

米国では入院患者数などの条件を満たした地域から経済活動を再開しているが、「第2波」が広がれば条件を満たさないケースが増えそうだ。

抗議デモの影響は、幅広い企業活動の制約にもなっている。ニューヨーク市のマンハッタンでは1日、抗議デモの影響で一部のオフィスビルが閉鎖された。混乱が長期化すれば、オフィスや工場の再開に慎重になる企業が増加する気配がある。

企業のイベントの中止も相次ぐ。ソニーは1日、家庭用ゲーム機「プレイステーション」の新作イベントを延期するとツイッターで発表した。「現在は祝う時期ではない」と説明した。グーグルも5月30日までに、基本ソフト(OS)「アンドロイド11」のベータ版(試用版)の一般公開を延期すると発表した。

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