「社員に安心を」抗体検査広がる RIZAPなど
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新型コロナウイルスの感染歴を確認する抗体検査を社員に受けさせる企業が増えている。厚生労働省が1日、無症状の人も含めた国内の感染の広がりを確認するため1万人の調査を始めたが、企業による検査の狙いは「従業員の安心」を通じた出口戦略の模索にある。
厚労省の抗体検査は東京、大阪、宮城の3都府県を対象に、ウイルスに感染した後の免疫反応で体内にできる抗体の有無を調べる。感染状況を正確に把握し、感染再拡大の防止に役立てることを目的にしている。
こうしたなか、RIZAPグループは、グループ社員とRIZAPブランドのトレーナーの約6千人に、中国メーカーのキットを使った抗体検査を始める。ソフトバンクグループ(SBG)も、中国製の簡易キットをグループの全社員や家族に無償提供して実施する。
システム受託のSHIFT(シフト)は、検査対象を役員や関連会社トップら出社の多い幹部とした。戸田建設も検査キットを千組用意し、首都圏在住の社員と家族が希望すれば受けられるようにした。
抗体検査は精度の問題などが指摘されているが、民間企業が自主的に進める背景には、事業活動の再開に向けて「抗体の有無が分かれば従業員らの安心につながる」(SBG)との判断がある。
法人の検査需要を取り込む医療機関も出ている。都内に4カ所の診療所を開く「有明こどもクリニック」(東京・江東)は5月下旬、法人向け検査の受け付けを始めた。米国の試薬を使った1人当たりの費用1万円の検査を通じ15分ほどで判定する。既に約20社から予約があり、「社員がオフィスに復帰する前に検査を要望する経営者は多い」という。
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