激変 湘南の夏、海水浴場断念相次ぐ

2020/6/1 19:07
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日本屈指の海水浴客数を誇る湘南で、今夏の海水浴場の開設を断念する動きが広がっている。新型コロナウイルスの感染第2波への懸念が残るなか、砂浜や海の家などで感染リスクを回避するのが難しいと判断した。ライフセーバーが配置されなくなることなどによって、海水浴客の安全確保や砂浜の管理などが課題になりそうだ。

各組合は藤沢市長宛てに今夏の海水浴場の開設断念を報告した(1日、藤沢市)

各組合は藤沢市長宛てに今夏の海水浴場の開設断念を報告した(1日、藤沢市)

「本当に残念だ。ごめんなさいと言うしかない。また来年来てほしい」。江の島(神奈川県藤沢市)で片瀬西浜・鵠沼海水浴場を毎年開設する江の島海水浴場協同組合の森井裕幸理事長は1日、同じく海水浴場を開設する江の島海水浴場営業組合と辻堂海水浴場協同組合と合同で、鈴木恒夫市長宛てに今夏の開設を断念することを報告した。

それぞれの組合に加盟する海の家でも「感染拡大のリスクを徹底的に抑えることが難しい」として、今夏の開設は断念した方がいいという意見が過半だったという。環境省の最新のまとめでは、2018年度の片瀬西浜・鵠沼海水浴場の利用者は101万人と全国トップ。市全体では毎年150万人超の海水浴客が集まるが、今夏はにぎわいが少なくなりそうだ。

藤沢市長には3組合が連名で「海岸が無法地帯となってしまうことが懸念される」とした上で「海岸管理者の県に対して安全・安心な海岸を維持するための対策を講じる働きかけを行うことを強く望む」とした要望書を提出した。

今夏の海水浴場の開設については、県が海の家の利用を完全予約制にすることなどを盛り込んだ運営ガイドラインを策定した。森井理事長は「それに沿ってやるのは到底無理だった」と振り返り、これが開設断念の決定打になったようだ。

海水浴客のマナー改善などで連携してきた鎌倉市、逗子市、葉山町の2市1町も1日、今夏の海水浴場の開設を断念すると連名で発表した。県の運営ガイドラインなどを検討し、海岸での密集防止など新型コロナ対策との両立が難しいと判断した。鎌倉市によると、海水浴場の開設を中断するのは太平洋戦争以来となる。

神奈川県鎌倉市はゴールデンウイークに向け、海岸への来訪自粛を呼びかけた(4月下旬)

神奈川県鎌倉市はゴールデンウイークに向け、海岸への来訪自粛を呼びかけた(4月下旬)

鎌倉市は夏目漱石の「こころ」の舞台となった材木座海岸や由比ガ浜などで知られ、19年の同市の海水浴客は35万5000人だった。同市海浜組合連合会によると海水浴は「明治9年(1876年)の鎌倉七里ガ浜を起源とする日本国民の生活文化だ」として、断念は「歴史的大事件だ」とコメントした。

一方、海岸への来訪そのものを強制的に禁止することはできないため、公共空間でのマナー条例を改正するなどして、海岸で飲酒などができないようにする。鎌倉市の松尾崇市長は同日の定例記者会見で、断念について「断腸の思い」と述べたうえで「来訪を控えていただきたい」と呼びかけた。

県内では他に、茅ケ崎市、平塚市、大磯町、小田原市、真鶴町なども今夏の海水浴場の開設を断念すると決めている。神奈川県の担当者は海水浴客に対して「遊泳の遠慮をお願いする看板を設置する」と話す。

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