やってみた10万円申請 中高年はスマホよりPCが楽?

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2020/6/3 2:00
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2週間たたずに振り込まれた特別定額給付金

2週間たたずに振り込まれた特別定額給付金

10万円の特別定額給付金の申請が「誤記しがちな仕組み」「自治体の負担が膨大」「窓口の3密を招いた」など、様々な形で話題になっている。オンライン申請の分かりにくさもその一つで、誤入力が多いことからオンライン申請の受け付けを取りやめた自治体も複数あるほどだ。筆者もスマートフォンで試してみたが、2時間苦闘すれども申請できずに終わった。諦めてパソコンで申請してみたら今度は30分かからずに終わるなど、「スマホ申請システム特有の難解さ」も強く感じた。今回はその顛末(てんまつ)記を書いてみよう。

■何を使うか、事前準備も大事

筆者の住む東京・杉並区では5月11日から受け付けを開始したので、12日の晩に早速試してみた。「どこからオンライン申請するのか」でまず悩んだが、正解は住んでいる自治体のサイトではなく総務省の「特別定額給付金サイト」。このサイトでは市区町村の対応状況も分かるし、郵送での申請方法も詳しく書いてある。

数年前のICカードリーダーでも無事申請できた。ただし「e-Tax対応」「マイナンバーカード対応」などと書いてあることが大事

数年前のICカードリーダーでも無事申請できた。ただし「e-Tax対応」「マイナンバーカード対応」などと書いてあることが大事

大事なのはオンライン申請を何で行うか。パソコンとICカードリーダーで申請するのか、新しめのスマホ(iPhone、Android端末)を使うのかだ。新しめというのは、iPhoneであれば「iOS 13.1以上がインストールされたiPhone 7以降のもの」となっていて、これより古いと非接触でICカードを読み込むための「NFC機能」が非搭載なので使えないからだ。iPadもNFC機能がないから使えない。Android端末での対応機種リストは上記サイトにあり、おおむね2016年後半以降に発売された機種なら大丈夫のようだ。

さてどちらを使う場合でも、以下のものが必要になるので先に用意しておこう。

マイナンバーカード(署名用電子証明書の期限が切れておらず有効なもの。引っ越しや結婚でこれが失効していると窓口に行って手続きするまでオンライン申請できない)
マイナンバーカードの暗証番号(4種類あるうち、券面事項入力補助用の4桁の数字と、署名用電子証明書の6~16桁の英数字を使う)
通帳かキャッシュカード(10万円の振込先口座番号が自分に分かるもの)
振込先口座の確認書類(口座番号やカナ氏名が窓口の人に分かるもの。通帳やキャッシュカードの写真、インターネットバンキングの画面キャプチャなど)

準備ができたらいよいよ申請だ。パソコンの方が確実にできそうな予感はしたが、「スマホを使う人の方が多いだろう」と思い直し、iPhoneXS MaxとDoCoMo回線+自宅Wi-Fiという環境でチャレンジしてみた。前述のサイトにあるQRコード経由でスマホに「マイナポータルAP」というアプリを入れ、その中の「ぴったりサービス」というコーナーで手続きを進める。細部は省略するが、大まかな流れとしては以下のようになる。

(1)郵便番号を入れて住んでいる地域を検索(プルダウン入力も可能)
(2)「ぴったり検索」タブから赤字の「特別定額給付金」にチェックを入れて検索し、申請画面に進む
(3)動作環境、マイナポータルAPのインストールなどを確認した後で連絡先のメールアドレスか電話番号を入力
(4)申請者情報をマイナンバーカードから読み取る(ここで券面事項入力補助用の4桁数字の暗証番号を使う)。全て手入力することも可能
(5)フリガナ、郵便番号が空欄なので入力
(6)妻など他の給付対象者の名前、受取口座の情報(金融機関名や口座番号)を入力
(7)口座確認用の添付書類を登録する。預金通帳の写真などを選び、マイナンバーカードと署名用電子証明書の暗証番号を使って電子署名を付与する
(8)「送信を実行」する。受付番号が表示されたら申請完了

この通り、操作ステップと手入力する部分が多くてなかなか大変だ。マイナンバーカードのICチップには個人情報が一通り入っており、それをスマホで読み取って送る程度の作業だと勝手に思っていたが、違ったようだ(これは紛失時などのセキュリティ確保のためらしい)。実際はこのICチップは電子的な鍵のようなもので、マイナンバーがまだ口座番号などとひも付いていないというのは現在報道されている通り。それにしてもスマホの小さな画面で多くの個人情報を手入力するのは、老眼気味の中高年には地味にこたえる。確認画面がやたらと多いのにもうんざりしてくる。

■4種類の暗証番号も落とし穴

マイナポータルAPの画面。ここで「ぴったりサービス」を押して入力を始めると、実はSafariに飛んでいる。この辺が分かりにくい

マイナポータルAPの画面。ここで「ぴったりサービス」を押して入力を始めると、実はSafariに飛んでいる。この辺が分かりにくい

同時期にオンライン申請した50代の金融のプロにも聞いてみた。「そもそもマイナポータルAPとブラウザのSafariの2つのアプリを行ったり来たりしながら進める点が分かりにくい。スマホ世代の若者は別だろうが、中高年には難解な仕様。私の場合は初日に1時間半かけたが終わらず、2日目に再度30分かけてようやく申請できた」(税理士法人アーク&パートナーズの代表社員税理士、内藤克氏)。この仕様のため、エラーが出始めるとどこからやり直せばいいのか分からなくなってしまうのだ。

マイナンバーには複数の暗証番号があるのも話をややこしくしている。4桁数字だけでも今回の券面事項入力補助用のほか、利用者証明用電子証明書、住民基本台帳用と3種類ある。3つを同じにしていたズボラな筆者は間違えずに助かったが、それぞれ違う数字に設定していると「この場面で使うのはどれだっけ?」となりがちだ。入力を3回連続で間違うとロックされて窓口で再設定しなければならず、一時期これが3密の原因になっていた。

さらにもう1つ、署名用電子証明書の6~16桁の英数字のものがあり、英字はパスワードの常識を超えた「大文字のみ」。こちらは5回連続で間違うと窓口行きになるが、個人のブログなどを見ているとここで引っ掛かった人も多いようだ。そもそもマイナンバーカードの申請時に電子証明書を「不要」として申請した人は、カードは持っていても「そんな暗証番号、決めた覚えがないぞ?」ということになって混乱する。この辺も1つの落とし穴になっている。

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