無線マイクや転倒時に緊急連絡 最新自転車ヘルメット

新型コロナウイルスで自転車通勤が見直されていることから、前回「コロナ禍で注目の自転車通勤 グラベルバイクで快適に」で最新の自転車を紹介した。ただ、自転車通勤するとなると、こだわりたいのがヘルメットだ。スポーツ自転車はスピードが出るため、転倒した際のけがのリスクも高い。警察庁のデータによれば、平成26年から30年の間に自転車乗車中の交通事故で亡くなった人の6割以上が頭部に致命傷を負っている。また、別の統計によればヘルメットを着用していない人の致死率は、着用している人よりも2.5倍以上高いという(平成21年~30年)。
自転車用のヘルメットでは、ここ数年「MIPS」(マルチディレクショナル・インパクト・プロテクション・システム)と呼ばれる技術を採用する製品が増えている。これは外側のアウターシェルと内部のライナーがそれぞれ独立した構造になっている。頭部に衝撃を受けた瞬間に、ライナーだけが頭部と共にスライドして脳へのダメージを低減する仕組みだ。
実際の交通事故では体が回転しながら頭部に衝撃を受けることが多い。それに対応するため開発された。他にも、視認性を高めるバックライトやインカムを内蔵した製品など、多彩な機能をもつ最新ヘルメットをピックアップして紹介する。
後頭部に高輝度LEDライトを搭載

ベンチレーション(通気孔)が多数設けられたロード用ヘルメットは少々高価だが、軽量で通気性が良く、フィット感に優れるのが特徴。ロードバイクでのトレーニングやレースに限らず、真夏や距離の長い自転車通勤でも快適に使用できる。こちらのモデルは後頭部に20ルーメンのUSB充電式のLEDライトを内蔵し、自動車などからの視認性を向上させている。MIPS採用。重さは283グラム(Mサイズ)。
カジュアルなデザインでシーンを選ばない

レーザーはベルギー発の老舗ヘルメットブランドながら、日本人の頭にフィットするアジアンフィットモデルも展開している。コンパクトAF(アジアンフィット)はシーンを選ばないカジュアルなデザインと、優れた通気性を確保しながらリーズナブルな価格を実現しているのが魅力。
サイズはワンサイズ(54~61センチに対応)のみのフリーサイズ展開で、後頭部のダイヤルを回すことで簡単にフィット感の調整が可能なターンフィットプラス機構を採用する。重さは320グラム。
機能が充実したアーバンモデル


1万円を切るリーズナブルな価格帯ながら、デザインを含め、シティーライドに求められる機能が網羅されたモデル。後頭部まで保護された安全性の高い帽体の後部には、大型LEDライトを搭載。
シチュエーションに応じて着脱できるバイザーのほか、大型のベンチレーションには虫の進入を防ぐネットが設けられている。操作性に優れる独自のサイズ調整機能、ZOOMアジャストダイヤルを採用する。重さは380グラム(Mサイズ)
マイクとスピーカーを内蔵するスマートヘルメット

インカムを内蔵する革新的なサイクリング用ヘルメット。耳をふさぐことなく、周囲の環境音もしっかり認識できる構造になっており、Bluetooth4.1でスマートフォンなどの端末と接続することで、ナビ案内や音楽のほか、フィットネスアプリからの心拍数、速度などの情報を音声で聞きながらライドすることも可能。R1のユーザー同士なら最長900メートル、合計4人まで同時に接続して会話を楽しみつつライドできる。重さは380グラム(Mサイズ)。
事故を検知してアラームを自動送信してくれる

軽量でフィット感に優れたロード用モデル。MIPSを採用しており、高い安全性も確保している。また「ANGiクラッシュセンサー」と名づけた独自のデバイスを装備しているのも特徴。ヘルメットに加速度計とジャイロスコープを内蔵しており、転倒時の衝撃を検知できる。
専用のスマートフォンアプリと連携させることで、転倒した際に緊急連絡先へ事故に遭遇したことをテキストメッセージで自動送信する。さらに事故が発生した現在位置情報も送信する。通勤など、日常的に自転車を利用する人の安心感を高めてくれる機能だ。重さは非公表。
(ライター 佐藤旅宇)
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