米ツアー ズームアップ

フォローする

我が道貫くミケルソン まもなく50歳、情熱衰えず
ゴルフジャーナリスト ジム・マッケイブ

2020/6/3 3:00
保存
共有
印刷
その他

ライブスポーツに対する飢えを、象徴するようだった。

先日、タイガー・ウッズ、フィル・ミケルソン(ともに米国)らによる新型コロナウイルス対策支援を目的としたチャリティーマッチが行われると、ケーブル局のゴルフ中継としては史上最多の平均580万人が視聴したという。チャリティーということはもちろん、公式戦ではない。しかし、役者がそろった。

ウッズ、ミケルソンというゴルフ界の2大スーパースターに加え、プロフットボールNFLの元QBで、数々の記録を持つペイトン・マニングとオフにペイトリオッツからバッカニアーズに移籍し、現役QBとしては名声をほしいままにしているトム・ブレイディ(ともに米国)が参加。話題性十分とあって、なんと2000万ドル(約21億5000万円)もの寄付を集めた。

チャリティーマッチを終え、記念撮影するミケルソン(左端)、ウッズ(右端)ら=USA TODAY

チャリティーマッチを終え、記念撮影するミケルソン(左端)、ウッズ(右端)ら=USA TODAY

ウッズとミケルソンは2018年11月にも、有料放送のテレビマッチに出場しており、このときはミケルソンが「ザ・マッチ」と銘打たれた一戦に延長で勝って900万ドルを総取り。その賞金の多くがミケルソンに指定された団体に寄付されたが、やはり、彼らが動けば、金も動く。今回も彼らのブランド力を、まざまざと見せつけられた。

もちろん、ウッズのゴルフ界、いや米スポーツ界における存在感は群を抜く。それを改めて説明する必要もないが、16歳で早くも米ゴルフ界に名をとどろかせ、44歳の現在まで、多くの話題を提供し続けている。昨年4月のマスターズ・トーナメントでは、14年ぶりにグリーンジャケットに袖を通した。昨年10月には日本で行われたZOZOチャンピオンシップを制し、米ツアー82勝目をマーク。サム・スニード(米国)の米ツアー最多勝記録に並んだ。来年は、延期されたオリンピック出場を目指しており、最後のビッグタイトルを狙う。

一方、6月16日で50歳になるミケルソンの人気も健在。おそらく、3番手はロリー・マキロイ(英国)だろうが、その差は縮まってきたとはいえ、ミケルソンは2番手の座を譲らない。

2004年のマスターズ・トーナメントで優勝して喜ぶミケルソン。その人気は当時も今も変わらない=AP

2004年のマスターズ・トーナメントで優勝して喜ぶミケルソン。その人気は当時も今も変わらない=AP

自由で飾らない性格は、チャリティーマッチのような場ではいっそう際立ち、ウッズに仕掛けるトラッシュトーク(汚い言葉や挑発)はまるでコメディーのよう。また彼は、ああいう場で空気を読むのがうまく、どんな話をすればいいか、ファンの求めているものを心得ている。

終了後も「次は、マイケル・ジョーダンとステフィン・カリーを呼ぼう」などと米バスケットボールNBAを象徴する新旧のスターの名を挙げたのも、そのことをよく表している。外出制限などで憂鬱な日々を送っている人々の心は、さらに躍った。

もっともこのところ、"公式戦"でのミケルソンは、精彩を欠く。

今年2月、AT&Tペブルビーチ・プロアマでは3日目まで首位を争い2連覇を狙ったが、最終日に74をたたいて3位に終わった。その後2戦は連続で予選落ちしている。初日を終えて大会が中止となったプレーヤーズ選手権では、初日に75と崩れた。ゴルフの世界ランキングも、5月31日現在61位。昨年2月のAT&Tペブルビーチ・プロアマで勝って17位まで順位を上げたが、その後は一時、86位まで順位を下げた。

昨年12月に行われたプレジデンツカップ(2年に1度開催される米国選抜と世界選抜の団体対抗戦)にも選抜されず、それは1994年に同大会が始まってから、初めてのことだった。

ところが、チャリティーマッチを振り返っても、力が衰えているようには見えない。おそらく、彼のゴルフバッグの中にウエッジとパターが入っている限り、勝つチャンスはある。それぐらいショートゲームは今も健在であり、ファンを魅了する。

ミケルソンのショートゲームは今も健在。トーナメントで勝つチャンスはある=USA TODAY

ミケルソンのショートゲームは今も健在。トーナメントで勝つチャンスはある=USA TODAY

ただ、ドライバーがどうにも安定しない。飛距離の衰えは感じられないものの、フェアウエーキープ率は、せいぜい55%前後。米ツアー内での順位は長く150~200位の間を行ったり来たりだ。その意味では、安定しているのだが――。

かといってミケルソンのファンは、フェアウエーに手堅く刻むような安全なゴルフを見たいわけではないのだろう。それを求めるのは彼の個性を否定することであり、なにより彼が、自身が追い求めてきたものを捨てることになる。

そのこだわりの根底にあるのは、言い換えれば、彼のゴルフに対する情熱そのもの。それは、50歳を前にしても色あせない。そして、彼は今もゴルフを楽しんでいる。それが分かるから、彼のゴルフは見ていて引き込まれる。

仮に勝てなくても自分のスタイルを貫くことを許された彼は、プロゴルファーとして幸せなキャリアを送っているのかもしれない。

「スポーツ」のツイッターアカウントを開設しました。

米ツアー ズームアップをMyニュースでまとめ読み
フォローする

保存
共有
印刷
その他

ゴルフのコラム

スコアアップヘ

電子版トップスポーツトップ

米ツアー ズームアップ 一覧

フォローする
トラベラーズ選手権の第1ラウンドで一緒に回るマッカーシー(左)、ウォレス(左から2人目)、コーリー(右)=APAP

 大リーグ、プロバスケットボールNBAの開幕や再開も決まり、新型コロナ禍でも徐々に米プロスポーツが開催に向けて動き出している。男子ゴルフの米ツアーは再開してすでに3大会が終了した。
 ただ、早くも波乱含 …続き (7/1)

ミケルソンのショートゲームは今も健在。トーナメントで勝つチャンスはある=USA TODAYUSA TODAY

 ライブスポーツに対する飢えを、象徴するようだった。
 先日、タイガー・ウッズ、フィル・ミケルソン(ともに米国)らによる新型コロナウイルス対策支援を目的としたチャリティーマッチが行われると、ケーブル局の …続き (6/3)

3月のプレーヤーズ選手権で初日首位に立った松山。米ゴルフ界はそこから時を止めたままだ=USA TODAYUSA TODAY

 まださほど時間がたっているわけではないのに、3月上旬までの日常が、遠い昔に感じられる。後々振り返ればわずかな時間と思えるのかもしれないが、時間に追われる日々を過ごしていたのに、今や時計を見るたび、針 …続き (5/6)

ハイライト・スポーツ

会員権相場情報

[PR]