マイナンバーカード、1カ月後に待つ次の関門
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2020/6/2 2:00 (2020/6/2 5:43更新)
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コロナ禍と同時進行したマイナンバー狂騒曲。10万円の特別定額給付金では本来迅速なはずのマイナンバーカードを用いたオンライン申請が人海戦術に支えられた「名ばかりオンライン」だったことが明らかになった。結局郵送申請の方が早そうだと、マイナンバーカードの取得を中断して後回しにした人も多いのではないか。だが、やはりなるべく取得は急ぎたい。次なる関門が実はすぐそこ、1カ月後に迫っている。7月から申し込みが始まる「マイナポイント」だ。

■還元率25%のお得度

マイナポイントはいわば「一石三鳥」を狙った官製の一大ポイント還元キャンペーンといえる。消費増税後の景気を下支えしつつマイナンバーカードとキャッシュレス決済、2つの普及を同時に狙う。

そのために設定されたのが25%という破格の還元率だ。電子マネーやQRコード、クレジットカードを使ってチャージや買い物をすると、25%相当のポイントが付き1ポイント1円で利用できる。消費増税対策としてキャッシュレス決済で受けられる還元は現在、店のタイプに応じて2~5%だからケタ違い。1人5000円分という上限はあるが、一人ひとりに付与されるから4人家族なら2万円分のキャッシュバック枠になる。その官製キャンペーンへの参加要件がマイナンバーカードの保有なのだ。

■やはり必要なマイナンバーカード

念のためにしつこいようだが、国民全員に割り振られているマイナンバーそのもののことではない。ICチップに電子的な個人認証機能(電子証明書)が搭載されたプラスチック製カードの方だ。希望者が任意で申請し自治体窓口で受け取る。通常でも1カ月半はみる必要のあるプロセスだが、コロナ関連対応で忙しい自治体窓口の作業を考えると現状2カ月待ちもありそうだ。

それでもマイナポイントの付与開始は9月だから、今からカードの申請をしても十分間に合う……と、思いきや総務省の公式ホームページに気になる注意書きを見つけた。

「予約者数が予算上限に達した場合、マイナポイントの予約を締め切る可能性があります」「マイナンバーカードの申請はお早めに」とあるではないか。え、予約? 締め切る? ということは、早い者勝ち?

9月の本番までに2つのステップをクリアしておかねばならない仕組みなのだ。まず「予約」。言葉が分かりにくいが、要するに各種オンラインサービスで本人を認証するために使う「マイキーID」の取得を意味する。既にマイナンバーカードを持つ人は今でも作業可能だ。カードに搭載されたICチップをスマホやパソコン(ICカードリーダーが必要)で読み取り、マイキーIDの「発行」ボタンを押すと割り振られる。

その上で7月から始まるのが「申し込み」。これはSuica(スイカ)やPayPay(ペイペイ)など自分が実際に利用するキャッシュレス決済手段を選び「ひも付け」する作業を意味する。そして国費で行われるマイナポイント事業には予算の上限があるから予約の段階で枠が埋まれば締め切りもあり得る。その場合、9月に始まっても還元は受けられない制度設計だという。

■締め切られる事態の可能性は?

「それは大変!」。慌てて総務省に枠を確認した。2020年度予算に計上されたマイナポイント事業関連予算は2458億円。諸経費を引いてポイント原資を2000億円とすると上限5000円だから枠は4000万人だ。

一方、マイナンバーカードの交付枚数は最新の5月27日時点で2125万7950枚。特別定額給付金の件があって急速に申請件数は増えているが住民基本台帳に名前のある約1億2700万人に対する普及率は16.7%と、ようやく6人に1人になったところだ。まだ余裕はあるとはいえ、どうせいつか必要になるカードなら早めに申請しておきたい。

■一心配去ってまた一心配

マイナンバーを巡る一連の騒動を見るに付け不安は尽きない。ようやくマイナンバーそのものとマイナンバーカードの違いが知られ始め、マイナポータルやマイナちゃんにも慣れたばかりの段階なのに、マイナポイント、マイキーID、マイキーくん……。新たに登場する「マイ」たちを自分は正しく理解し処理できるだろうか? 6月末で期限切れになる2~5%キャッシュレス還元に比べマイナポイントの恩恵は一部にとどまる。消費の下支え効果は大丈夫だろうか? 今、還元ポイントを切実に求めているのは一連の手続きをこなす余裕のある人ではないのではないか? そして何よりもまだカードを持っていない6人に5人がお得に触発され自治体窓口に殺到することで、給付金のオンライン申請の混乱が再現されなければいいのだが……。

山本由里(やまもと・ゆり)


1993年日本経済新聞社入社。証券部、テレビ東京、日経ヴェリタスなど「お金周り」の担当が長い。2020年1月からマネー編集センターのマネー・エディター。「1円単位の節約から1兆円単位のマーケットまで」をキャッチフレーズに幅広くカバーする。

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