株式市場の暴落再発を警戒 運用資産の7割は現金に
コロナショック後の株式投資 億万投資家の戦略(2)

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2020/6/3 2:00
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 株式投資で1億円を超す資産を築いたスゴ腕の個人投資家たちは、コロナショックで暴落した後の株式市場で、どのような勝負を仕掛けているのか。彼らが実践している投資戦略、そして大化け狙いで仕込んだ銘柄を見ていく。2回目は、割安成長株に集中投資し、2019年に運用資産が目標の2億円に到達した著名投資ブロガーの弐億貯男(におく・ためお、ハンドルネーム、40代)さんの対応を追う。

「今回の暴落にはうまく対応することができた」

ページビューが毎月約100万に上る大人気ブログ「サラリーマンが株式投資でセミリタイアを目指してみました。」を運営する弐億さんは、こう振り返る。

弐億さんは、2003年に株式投資をスタート。19年に、ハンドルネームの由来でもある「運用資産2億円」という目標を達成した。だが、そこに至るまでの道のりは順風満帆ではなかった。

06年のライブドア・ショックや08年のリーマン・ショックで全体相場が暴落した局面では、大きな含み損を抱えた。09年3月に日経平均株価がバブル崩壊後最安値を更新した時には、含み損が約900万円に達したという。

それでも、株式投資をやめずに辛抱強く続けた。11年から運用成績が大きく向上。着実に運用資産を増やしてきた。原動力となったのが、試行錯誤の末に確立した次のような投資法だ。

購入の対象はIPO(新規株式公開)から少したち、注目されず会社の予想値で算出した予想PER(株価収益率)が10倍台前半と割安な銘柄に限定する。その中から、一定の収入が定期的に入るストック型のビジネスを手掛ける会社の株を買う。そして、業績の拡大が止まらない間は持ち続ける。

この投資法で5銘柄前後に集中投資し、複数の銘柄で大きな売却益を上げる。介護付き有料老人ホームを展開するチャーム・ケア・コーポレーション(6062)では、テンバガー(10倍株)も達成。そして、19年に念願の運用資産2億円超えをクリアした。今は24年に3億円、29年に5億円という目標を掲げる。

■過去の暴落の反省を生かす

弐億さんは、19年10月の消費増税の影響で全体相場が下落することを警戒し、その前に運用資産に占める現金の比率を7割まで高めた。これは、リーマン・ショックの反省を生かした対応だ。

「リーマンの時には、株にフルに投資していた。そのため、相場の下落の影響をもろに受けただけでなく、待機資金がなくて割安になった株を買うこともできなかった。そうした事態を繰り返さないために買い付け余力を高めた」。弐億さんはこう説明する。

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ところが日本株の相場は、想定とは反対に19年10月から騰勢を強める。日経平均は今年1月20日に2万4083円まで上昇。バブル崩壊後の最高値の更新まであと187円に迫った。

だがこの間も、弐億さんは現金の比率を維持した。「景気は必ず後退し、相場も暴落する」と考え、警戒を緩めなかったからだ。「上昇相場の恩恵は、運用資産の3割分の持ち株で享受できればいいと割り切った」と語る。

■新規は1銘柄にとどまる

2月に入り、新型コロナウイルスの感染拡大に対する懸念が高まったことから、持ち株を少し売却して、現金の比率を一段と高めた。そこで全体相場の暴落が起きた。現金を増やしていたおかげで、暴落の影響を抑えることができた。

「運用資産の3割弱になっていた持ち株の価格は、25%くらい下がった。だが、業績が拡大するストーリーが崩れていなかったので、売らずに持ち続けた」

一方で、買い付け余力として確保していた現金を使って新たに購入した株は、イオン系のファイナンス会社、イオンフィナンシャルサービス(8570)の1銘柄にとどまった。

「従来は5%以上の急落が2日続いたら、相場の反発を狙って買い向かっていた。だが、今回の暴落では急落が連続して何回も起きたので、買いに動けなかった。でも安易に動かなくてよかった」

イオンフィナンシャルサービスは、3月13日に購入した。購入時に予想配当利回りが6%を超えるところまで価格が下落。同社は1995年度から25期連続で減配がなく、「ここからは大きく下がらない」と判断した。

■新たに2銘柄の購入に踏み切る

「旅行や外食など新型コロナで深刻な打撃を受けている業界は、どこまで下がるか分からない。だから手を出さない」と話す弐億さん。介護や葬儀業など、コロナ不況の影響が少なそうな業種で有望な銘柄を探していくと続ける。

5月には、中古車販売店運営のグッドスピード(7676)を全て売却して、利益を確定。写真や動画などのデジタル素材をネットで販売するピクスタ(3416)と、葬儀の施行や葬儀付帯業務の提供を手掛けるきずなホールディングス(7086)の2銘柄を新たに購入した。

ピクスタは、5月13日に発表した20年12月期の第1四半期(1~3月期)の決算で通期予想に対する進捗が滞っていたことから、株価が急落した。しかし、弐億さんは同四半期の業績の落ち込みは一過性と判断して、購入に踏み切った。

きずなホールディングスの購入に当たっては、葬儀業界の市場構造の変化に注目した。高齢化に伴う付き合いの減少や国内の経済状況の変化に伴って、規模の大きな一般葬や社葬が減少する一方、同社が手掛ける家族葬が増えているという。

当面はコロナ禍による外出や移動の自粛が同社の減収要因になるとみる。その影響がなくなれば直営の葬儀施設の増設が増収につながると期待を寄せている。

(中野目純一)

[日経マネー2020年7月号の記事を再構成]

日経マネー 2020年7月号 アフターコロナの勝ち組日本株

著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP
価格 : 750円 (税込み)

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