新型コロナで定着する変化 それで伸びる銘柄を厳選
コロナショック後の株式投資 億万投資家の戦略(1)

日経マネー特集
2020/6/2 2:00
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写真はイメージ=PIXTA

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 株式投資で1億円を超す資産を築いたスゴ腕の個人投資家たちは、コロナショックで暴落した後の株式市場で、どのような勝負を仕掛けているのか。彼らが実践している投資戦略、そして大化け狙いで仕込んだ銘柄を見ていく。初回は、割安成長株への投資で数億円の資産をつくった会社員投資家の奥山月仁(おくやま・つきと、ハンドルネーム、40代)さんの取り組みを紹介する。

「今日の株価上昇で、コロナショックの暴落で生じた含み損を解消できた」

日経平均株価が前週末比2.71%高と大幅に反発した4月27日月曜日。コロナ対策で在宅勤務を続けていた奥山さんは、必要が生じて久々に東京都心のオフィスに顔を出した。その帰宅途中で取材場所に姿を現すと、こう語り表情を和らげた。

奥山さんは、上場企業の管理職として多忙を極める合間を縫って株を売買している。割安な成長株を長期保有する投資法で複数の大化け株をつかみ、数億円に上る資産を築いた。株式投資のノウハウを紹介しているブログ「エナフンさんの梨の木」は、個人投資家の間で絶大な支持を得ている。

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■暴落で持ち株を入れ替える

新型コロナウイルスの感染拡大を発端として2月下旬に起きた世界同時株安。2月20日に2万3479円だった日経平均はつるべ落としとなり、3月19日に1万6552円まで下落した。この間の下落率は29.5%に達した。

この暴落の前に、奥山さんは攻勢を強めていた。「2017年にソニー(6758)を売却した後は、運用資産に占める現金の割合を7割以上に高め、売買を控えていた。その状態が長く続いて勘が鈍ったと感じて、取引を再開した」と振り返る。

デジタル技術でビジネスモデルを変えるDX(デジタルトランスフォーメーション)を追い風として、業績が拡大する。そう期待して購入したシステム開発関連のJBCCホールディングス(9889)とDTS(9682)など、下の表に掲げた5銘柄に集中投資。運用資産のほとんどを株で持つフルポジションの状態で、コロナショックによる暴落を迎えた。

「この相場では攻め過ぎの姿勢を修正しなければならない」。そう判断した奥山さんは、まずDTSを損切りして、DX関連銘柄に偏重していた状態を改めた。JBCCを残したのは、この銘柄の方を長く保有し理解が深いからだ。

さらに、不動産売買ネット仲介のGA technologies(3491)も売却した。「ネットによる仲介で対面が不要。新型コロナの感染拡大でソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保が広がる中、その波に乗って、不動産ではこの銘柄が伸びる可能性がある」

奥山さんはこう指摘した上で続ける。「深刻な景気後退が予想される中、低迷が長引けば、不動産の取引が大きく落ち込む懸念も強い。将来性に確信が持てないので売り切り、もっとリスク(不確実性)の小さい銘柄を買うことにした」

在宅勤務や外出自粛の拡大を受けて、パソコンの販売が伸びる。こう読んで、パソコンの受注生産を手掛けているMCJ(6670)を購入し、新たな主力銘柄に据えた。

同様に新型コロナの感染拡大が追い風になるとみて買った医薬品開発支援のシミックホールディングス(2309)と加工食品メーカーのプリマハム(2281)は、短期間で大きく上昇。売り切って利益を確定した。

一方で、巣ごもり消費でサービスの需要が拡大すると期待して打診買いした電子書籍配信のイーブックイニシアティブジャパン(3658)は、本格的に買う前に急騰してしまった。「電子書籍の配信は長期的に拡大するとみているので、追加で購入したい。既に底値からは2倍高と上昇しているが、この手の小型株はそこからさらに2~3倍になるケースがあるからだ」と攻めの手を緩めない。

■逆張り投資は手掛けない

暴落に伴う含み損は最大で3割に達した。その後、シミックとプリマハムの売却益や持ち株の反発によって、冒頭で紹介したように4月27日には含み損が解消した。

だが、警戒を怠らない。「再暴落も想定して、運用資産に占める現金の割合を2割程度に高めておく」

「新型コロナが収束したら、業績が急回復する。そうした見込みのある銘柄を、逆張りで買うことはしない」とも言う。コロナショックで起きた人々の行動の変化のうち、収束後も定着しそうなものを考え抜く。それに対応して伸びる銘柄を厳選して買う方針だ。

(中野目純一)

[日経マネー2020年7月号の記事を再構成]

日経マネー 2020年7月号 アフターコロナの勝ち組日本株

著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP
価格 : 750円 (税込み)

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