全米25都市で夜間外出禁止 黒人暴行死、デモ広がる

2020/5/31 10:43 (2020/5/31 22:19更新)
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米国の一部で抗議活動が過激化している(5月30日、ミネソタ州)=AP

米国の一部で抗議活動が過激化している(5月30日、ミネソタ州)=AP

【シリコンバレー=佐藤浩実】米白人警官の暴行による黒人死亡事件で30日、米メディアによると抗議活動が50都市に拡大し、25都市以上が夜間外出禁止令を出した。軍による治安維持に乗り出す州もある。ただ人種問題に根ざす抗議活動を抑え込むと火に油を注ぎかねず、当局は難しい対応を迫られている。

30日もニューヨークなど全米各地で大規模なデモが続いた。ロサンゼルスやシカゴなど25都市以上が夜間の外出禁止令を出した。ミネソタ州のワルツ知事は最大で1万3千人強の州兵をミネアポリスの監視に充てると表明。国防総省も陸軍を動員する準備に入った。

発端はミネソタ州ミネアポリスで5月25日に黒人のジョージ・フロイドさんが白人警官の暴行を受け、その後死亡した事件だ。「息ができない」と助けを求めるフロイドさんの姿を現場に居合わせた市民がSNS(交流サイト)に投稿した。警官は29日に殺人容疑で逮捕されたが、抗議活動は収まる気配がない。

シカゴでは一部のデモ参加者が市営バスの屋根に上り、「正義がない限り、平和はない」と訴えた(30日)

シカゴでは一部のデモ参加者が市営バスの屋根に上り、「正義がない限り、平和はない」と訴えた(30日)

略奪や暴力も相次ぐ。ディスカウントストア大手のターゲットは30日、全米の170店以上を一時閉鎖すると発表した。カリフォルニア州オークランドではホンダの自動車ディーラーから車を盗み出す事件も起きた。

抗議活動は一部が暴徒化し、略奪を繰り広げる事例も相次いでいる(ミネソタ州ミネアポリスの店舗、30日)=ロイター

抗議活動は一部が暴徒化し、略奪を繰り広げる事例も相次いでいる(ミネソタ州ミネアポリスの店舗、30日)=ロイター

抗議は米国に根ざす人種差別が起点だけに、やみくもに抑え込むと暴動が激化しかねない。ニューヨークのデブラシオ市長は平和的なデモなら認めるとしたうえで「あなたの前にいる警官が今回の問題をつくったわけではない」と述べた。

米国ではなお1日あたり2万人前後の新型コロナウイルス感染者がでている。デモ参加者がウイルスを地元に持ち帰る恐れもあり、ミネソタ州のマルコルム衛生局長は「感染リスクを十分認識してほしい」と訴えた。

抗議活動が警官隊と衝突するケースも(30日、ニューヨーク市)=ロイター

抗議活動が警官隊と衝突するケースも(30日、ニューヨーク市)=ロイター

米国では数年ごとに警官による黒人暴行事件が大規模な抗議活動に発展している。2014年にはミズーリ州ファーガソンでマイケル・ブラウンさんが警官に射殺された。ロサンゼルスでは、1991年にスピード違反で逮捕されたロドニー・キングさんが暴行を受ける事件が起きている。

16年にトランプ大統領を誕生させた米国では社会の分断と不平等が一段と進んだ。コロナによる死者が10万人を超え、米経済が戦後最悪の局面に陥るなかで加わった黒人暴行事件は、国家の危機を一段と深めている。

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