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「コロナ危機 私の提言」まとめ読み

日本経済新聞では「コロナ危機 私の提言」を随時掲載しています。有識者のみなさんにそれぞれの専門分野での取り組みを踏まえ、具体的な提言を示していただいています。

▼福井トシ子・日本看護協会会長「看護職の復職支援を」

新型コロナウイルスの医療現場で最前線に立っているのは看護師や保健師などの看護職だ。入院から退院まで24時間365日患者に付き添う。

これは高い感染リスクにさらされていることの裏返しでもある。人工呼吸器をつける上で必要な気管挿管の介助や、たんの吸引など多量に飛沫を浴びる措置も看護職の仕事だ。マスクや防護服、医療用アルコールなど防護具や衛生材料が不足する中、本来使い捨てのものを再利用し、防護服の代わりにごみ袋やレインコートを使用するなど、いつ感染してもおかしくない状況にさらされている。

日本看護協会会長 福井トシ子氏

このウイルスが無症状でも感染する点も事態を難しくしている。どこに感染リスクが潜んでいるか分からない。警戒していても、一般の入院患者から思いがけず感染するケースも少なくない。

こうした状況が理解されず、院内感染が報じられた病院には市民の問い合わせや苦情の電話が殺到し、看護職は精神的に追い詰められている。コロナ患者の場合、容体が悪化しても家族の面会を断らざるを得ず、「思うように職務を全うできない」と自分を責めてしまう看護職も少なくない。医療従事者への偏見や差別も多い。

離職の話も聞く。院内感染が報じられた病院の一部で離職が出ているほか、家族から離職を求められるケースもあるようだ。

協会は離職中の人に復帰を呼びかけているが、離職期間が長い人は改めて勉強してから現場に戻ってもらうため、復職に時間がかかる。看護職には、その動静を正確に把握する資格管理制度がない。国は離職中も知識や技術を維持・向上し、迅速に職場復帰できるよう、資格管理を徹底すべきだ。

背景には国が看護職の役割を重視してこなかったことがある。高齢化社会への対応で医療費の適正化を進めてきたが、診療報酬が減った病院が真っ先に行ったのも看護人材の削減だった。看護人材なしでは医療現場は回らないのに、処遇は不十分だ。

教育を充実させ、地位と処遇を改善させることが欠かせない。今回の危機は、国を挙げて看護職の充実に取り組むべきだということを教えている。

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