黒人暴行死デモ拡大 トランプ氏発言、混乱に拍車

2020/5/30 16:50
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黒人死亡事件が起きた米ミネソタ州ではデモ隊が暴徒化して放火も起きている(29日)=ロイター

黒人死亡事件が起きた米ミネソタ州ではデモ隊が暴徒化して放火も起きている(29日)=ロイター

【ワシントン=中村亮】白人警官の暴行による黒人死亡事件への抗議活動が全米に広がるなか、トランプ大統領の発言が混乱に拍車をかけている。事件への抗議デモに対し、黒人差別的な表現を使いながら武力制圧も辞さない意向を示し、政界や人種差別撤廃を訴える団体から批判を浴びた。人種による米社会の分断は一段と深刻になっている。

抗議活動の起点となった黒人死亡事件は25日、中西部ミネソタ州ミネアポリスで起きた。地元メディアによると、逮捕されたジョージ・フロイドさんの首に白人警官が膝を押しつけ、フロイドさんはその後病院に運ばれ死亡した。抗議デモは30日までに少なくても20都市に広がったとみられ、南部ジョージア州アトランタにあるCNNテレビ本社も襲撃された。ホワイトハウス周辺でもデモ隊が警官隊ともみ合いになった。

抗議デモを逆なでしたのがトランプ氏だ。29日にツイッターでデモ隊を「悪党」と断じた上で「略奪が始まれば銃撃も始まる」と投稿した。デモ隊を敵視し、武力による制圧を支持する発言と受け止められた。ツイッターはトランプ氏の投稿について「暴力を賛美するものだ」との警告表示をつけた。

トランプ氏の投稿は差別を受けてきた黒人社会の暗い歴史を想起させるものだ。黒人差別が横行していた1967年、南部フロリダ州の白人警察幹部が黒人コミュニティーを取り締まる際に使った言葉をそのまま引用したからだ。同幹部は、黒人の権利向上を主張した公民権運動を利用し「若い黒人のちんぴらによる犯罪が横行している」との見方を示し、黒人社会と激しく対立した。

11月の大統領選で民主党の候補指名を固めたバイデン前副大統領は29日、オンラインで声明を読みあげ「(暴力を)扇動するツイートをしている場合ではない」と強調。「真のリーダーが必要だ」とも語ってトランプ氏を批判した。人種差別撤廃を訴える団体「黒人の変革」はトランプ氏の投稿をめぐり「政権に定着している根深い(黒人に対する)憎悪を示すものだ」と断じた。

トランプ氏はこれまでも人種差別と受け取られかねない言動を繰り返してきた。2017年には暴徒化した白人至上主義者について「中には良い人もいる」と指摘。白人至上主義を肯定したとして猛反発を受けた。16年の大統領選では黒人社会をめぐり雇用や教育などの環境が悪いと指摘した上で「失うものはもう何もない」と語ったこともあった。

米紙ワシントン・ポストなどが20年1月に黒人を対象に実施した調査によると、トランプ氏が「人種差別をより大きな問題にした」との回答は83%にのぼった。77%は「いまは白人にとって良い時代」と答え、83%は「トランプ氏が人種差別主義者」とみなした。

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