サプライズ花火、夏彩る 告知せず「悪疫退散」

2020/5/30 10:30 (2020/5/30 12:43更新)
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「悪疫退散」と書かれた花火玉と、打ち上げを企画した村瀬煙火の専務村瀬功さん(28日、岐阜市)

「悪疫退散」と書かれた花火玉と、打ち上げを企画した村瀬煙火の専務村瀬功さん(28日、岐阜市)

新型コロナウイルス感染への警戒が続く中、夏の風物詩である花火大会の中止が相次いでいる。花火にはもともと疫病退散祈願の意味もあったとされ、逆風に負けまいと、人が集まらないよう事前の告知をせずに打ち上げる「サプライズ花火」の試みも始まった。台風や五輪延期もあって花火大会を取り巻く環境は厳しいが、関係者は「少しでも楽しんでもらえたら」と願う。

「空を見上げて、一瞬でも明るい気持ちになってほしい」。創業100年近い老舗の花火製造会社「村瀬煙火」(岐阜市)は28日夜、長良川河川敷で約25発の花火を打ち上げた。客が集まらないように事前の告知はしておらず、時間は3~4分のみ。夏の花火大会に向けて作りためていた在庫を使った。

人が集まるのを避けながら花火を楽しんでもらおうと企画された「サプライズ花火」。大きな花火が次々上がると、河川敷にいた家族連れからは歓声が上がった。

同社の村瀬功専務(34)によると、花火大会は疫病退散を願って始まった歴史があるという。村瀬さんは「多くの人が苦しむ中、僕らができるのは花火を上げること」と力を込める。

花火大会が置かれた環境は厳しい。「まさか3年連続で中止になるとは」。6月6日に開催予定だった静岡市の「第67回安倍川花火大会」は新型コロナにより中止となり、同市観光交流文化局の担当者は肩を落とす。台風の直撃で取りやめた2018、19年に続く開催断念となる。

約60万人が県内外から訪れ、地元にとっては夏の観光イベントの目玉だ。今夏に予定されていた東京五輪・パラリンピックの時期と重ならないよう、例年の7月末の開催を前倒しし、6月実施としていた。市担当者は「今年こそ台風には見舞われないと信じていたが、コロナは想定外だった」と話す。

例年7月末から8月中旬に集中する花火大会だが、今年は多くの大会が五輪に配慮する形で日程の変更や中止を決めていた。五輪の1年延期が決まったことで、結果的に2年続けて調整を強いられる主催者も多い。

7月11日の花火大会を中止した隅田川花火大会の担当者は「来年の日程をどうするか、改めて考え直さないといけない」と戸惑う。毎年7月の最終土曜日に開催しており、五輪日程を避けて今年は2週間早めていた。

約100万人が訪れる国内最大級の大会で、警備の手配や周知を徹底するため、開催2年前の18年時点でいち早く日程を固めて慎重に準備をしてきた。担当者は「日程変更のシミュレーションは容易ではない」とため息をつく。

こうした逆風に負けまいと、村瀬煙火の村瀬さんらは、全国の約160社の花火製造会社が共同で一斉に打ち上げる計画も練っている。

6月上旬に日時を合わせて各地で花火を打ち上げる構想で、「集客しないこと」「5分以内」が条件。全国各地で自宅から花火を見てもらうことを想定している。村瀬さんは「花火の力で元気を届けたい」と語る。

「悪疫退散」を祈願し、事前に場所を公表せずに打ち上げられた花火(6月1日、福岡市、多重露光)=共同

「悪疫退散」を祈願し、事前に場所を公表せずに打ち上げられた花火(6月1日、福岡市、多重露光)=共同

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