米の暴動、各地で広がる 黒人死亡に抗議

2020/5/30 5:52 (2020/5/30 12:25更新)
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黒人死亡事件に対する抗議活動は暴動につながった(28日、ミネアポリス市)=AP

黒人死亡事件に対する抗議活動は暴動につながった(28日、ミネアポリス市)=AP

【シカゴ=野毛洋子】米ミネソタ州ミネアポリス市で25日に起きた警官の暴行による黒人死亡事件をきっかけに、全米各地で抗議活動が広がっている。ミネアポリスでは大規模な暴動が起き、28日に同州のワルツ知事が非常事態を宣言した。今週末には複数の都市で抗議デモが計画されており、暴力の連鎖に対する警戒が強まっている。

ミネアポリスでは28日に2日連続で暴動が起きた。日中の平和なデモが夜になると数千人規模に膨れ上がり、白人を含む一部が暴徒と化した。警官が催涙弾を発射して沈静化に努めるなか、午後10時すぎには暴徒が警察署ビルに火を放った。近隣の店舗では略奪が相次いだ。

ワルツ知事は29日の記者会見で「街に平和を取り戻そう。略奪や無謀な行為に終止符を」と呼びかけた。デモの現場は連日の放火や略奪で廃虚と化している。29日早朝にはCNNの記者が現場の取材中に逮捕される混乱もあった。

黒人死亡事件への抗議運動は全米に広がる。ニューヨークやシカゴでは市民が警官ともみ合いとなり逮捕者が出たほか、ロサンゼルスでも28日に高速道路をデモ隊が閉鎖する騒ぎが起きた。

地方都市も同様だ。オハイオ州コロンバスでは28日、約400人の市民が警官とにらみ合い、州政府ビルや店舗の窓が破られた。ケンタッキー州ルイビルでは28日夜に抗議デモで発砲事件が起き、7人が負傷したもようだ。

CNNによると、29日午前10時時点でオレゴン州ポートランド、アリゾナ州フェニックスなど9都市で抗議デモが起きた。ただ、これらの都市以外でもデモは起きているもようで、全容は不明だ。

抗議活動の起点となった黒人死亡事件は25日、ミネアポリス市内で起きた。地元メディアによるとジョージ・フロイドさん(46)は20ドルのにせ札を使った疑いで逮捕された。手錠をかけられ地面に横たわるフロイドさんの首に白人警官が膝を押しつけた。「息ができない」と助けを求めるフロイドさんの姿は現場に居合わせた市民がSNS(交流サイト)にビデオ投稿し、全米にショックを与えた。

フロイドさんは、その後病院に運ばれ死亡した。逮捕に関わった警官4人は事件翌日に解雇され、膝を押しつけた警官1人は29日州当局に殺人容疑で逮捕された。同事件は米司法省と米連邦捜査局(FBI)が、人権を侵害し連邦法に違反した疑いがあると捜査していた。

元警官の逮捕で抗議デモが沈静化するかどうかは不透明だ。トランプ米大統領は29日、ミネアポリス市長の暴動対応について「弱い」と批判し「略奪が始まれば銃撃も始まる」と強硬手段を示唆する内容をツイッターに投稿した。同ツイートに対しては米人気歌手のテイラー・スウィフトさんが「暴力による脅しだ」と批判した。

抗議活動は今週末も各地で広がりそうだ。30日にはニューヨークやロサンゼルス、シカゴなど10以上の都市でデモが予定されている。

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