新型コロナの業績影響「企業は誤解招かぬ開示を」 IOSCO声明

金融最前線
2020/5/30 4:28
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【ロンドン=篠崎健太】世界の証券当局でつくる証券監督者国際機構(IOSCO)は29日、新型コロナウイルスの影響に関する企業業績の開示をめぐり、誤解を招かない適切な運用を求める声明を発表した。新型コロナの影響を除いた収益指標を投資家への説明に使う動きがあり、こうした手法は望ましくないとの見方を示した。開示内容の充実には外部監査の役割が大切だとも強調した。

証券当局は「コロナ調整後利益」の乱用にクギを刺した(27日のニューヨーク証券取引所)=ロイター

声明を出した背景には、新型コロナで不透明な経済環境のもと、企業情報開示の重要性が増しているとの問題意識がある。タイムリーで良質な、透明性の高い開示が求められているとして「企業には入手可能な最善の情報を使う責任がある」と訴えた。新型コロナの事業への影響や今後の見通し、対応策などを丁寧に伝えるよう呼びかけた。

声明はいわゆる「調整後利益」の乱用にクギを刺した。海外では一時費用を除く独自の利益指標を、業績の説明で掲げる企業が多い。最近では米ウーバーテクノロジーズのように、新型コロナの関連費用も足し戻した数値を示す動きが出ている。市場関係者の間では、償却前営業利益をさすEBITDAにコロナのCを加えた「EBITDAC」という造語も登場し、批判が起きていた。

IOSCOは、会計基準に基づかない独自指標の運用では「誤解を招く可能性がないようにすることが特に重要だ」と指摘した。新型コロナでは業績への影響は全てが一時的とは限らないとし、むやみに利益を調整すべきではないと説いている。「新型コロナの影響がなければ利益は××%増えていた」といった仮定の収益表示は不適切だと例示した。

このほか、一般に通期決算よりも内容が薄くなる半期や四半期の開示で、新型コロナ関連の情報を手厚く盛り込むことが望ましいとした。財務情報の利用者はいつも以上に外部監査人の目を頼ることになると強調し、情報開示の質向上を支える監査面からの後押しにも期待を表明した。

新型コロナの影響を調整した収益指標の開示に対しては、欧州連合(EU)の欧州証券市場監督機構(ESMA)も20日、実態を忠実に表さず「利用者の理解を妨げる」として控えるべきだとの見解を示していた。オーストラリアの当局も新型コロナがなかったと仮定する利益指標は適切ではないと指摘している。

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