米、香港の優遇措置を廃止へ WHO脱退も表明

2020/5/30 4:09 (2020/5/31 4:26更新)
保存
共有
印刷
その他

【ワシントン=永沢毅】トランプ米大統領は29日、米国が香港に認めている優遇措置の廃止に向けた手続きに入ると発表した。中国が香港への統制を強化する「香港国家安全法」の導入を決めたことへの対抗措置となる。中国や香港の当局者への制裁や世界保健機関(WHO)から脱退する意向も表明。新型コロナウイルスによって激しさを増す米中対立がさらに先鋭化する。

トランプ氏がホワイトハウスで記者会見して明らかにした。「香港にはもはや十分な自治はなく、私たちが提供してきた特別扱いに値しない。中国は『一国二制度』を『一国一制度』に置き換えた」と中国を強く批判した。

米国は香港が1997年に英国から返還されて以来、香港での「高度な自治」を前提に優遇措置を提供している。トランプ氏は「関税や渡航の優遇措置を取り消す」と明言した。香港原産品には米国が課している対中制裁関税が適用されず、香港の市民は米国の査証(ビザ)の取得が中国本土よりも容易だ。

実行に移されれば、アジアの金融センターとしての香港の地位が揺らぎかねない。3兆円規模とみられる香港経由の中国の対米輸出にも影響が及び、香港経済や米国企業への打撃も避けられない。トランプ氏は優遇措置の撤廃が犯罪人引き渡しや軍民両用技術の輸出規制などあらゆる分野にわたると説明した。中国や香港の当局者への制裁は、香港の自治の侵害に関わった人物らが対象となる。

WHOに関しては「必要な改革を実施しなかったため関係を断絶する」と語った。WHO向けの拠出金はほかの公衆衛生分野に振り向ける。米国はWHOへの最大の拠出国で、WHOの運営に支障を来すのは必至だ。使用を見合わせていた「武漢ウイルス」という呼称も用いて中国の対応を批判した。トランプ氏は新型コロナウイルスの感染拡大で必要な対応をとらなかったとして、かねて中国寄りと批判してきた。

中国人民解放軍への協力者とみなした中国からの大学院生の入国を安全保障上のリスクになるとして停止する。米国の投資家や金融システム保護のため、米国市場に上場している中国企業に関して研究する作業グループを立ち上げる。米国企業と異なる情報開示のあり方などを調査する見通し。

2月に発効した第1段階の米中貿易合意の扱いには言及しなかった。会見にはポンペオ国務長官やムニューシン財務長官ら政権高官が同席したがトランプ氏は質問を受け付けず、10分弱で打ち切った。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]