4月の米個人消費、過去最大の13.6%減 貯蓄率も最高に
【ワシントン=長沼亜紀】米商務省が29日発表した4月の個人消費支出(PCE)は、季節調整済みの年率換算で前月比13.6%減少した。新型コロナウイルスの影響による外出規制や失業の急増を受け、下げ幅は1959年の統計開始以来、最大となった。政府支援で個人所得が増えるなか、消費低迷を反映して貯蓄率は過去最高になった。

コロナショックの打撃で耐久財を中心とするモノの支出が16.5%減り、サービスも12.2%減少した。飲食サービスや宿泊、医療関連も落ち込んだ。
一方、4月の個人所得は政府の景気対策による現金給付で前月比10.5%増えた。賃金は8%減少したが、大人1人当たり1200ドル(約13万円)の給付や失業保険給付金の積み増しが所得を押し上げた。
個人は給付金などの一部しか消費に回さなかったため、貯蓄率は33%と前月の12.7%から急上昇し、過去最高となった。経済活動や外出の制限で支出機会が減った上、雇用情勢の悪化も消費の手控えにつながった。
同日発表したPCE物価指数は、前年同月比0.5%上昇に鈍化した。伸び率は3月から0.8ポイント縮小し、2015年12月以来の低い伸びとなった。新型コロナによる需要低迷で、物価に下落圧力がかかっている。
5月以降は各地で制限が緩和されており、消費が底を打つ兆しもある。飲食店の予約サイト「オープンテーブル」のデータによると、5月上旬にはゼロだった店内客が、28日には全米で前年比で15%、経済再開で先行した州では4~5割程度戻っている。今後は増えた所得や貯蓄を個人がどう消費に回すかが焦点になりそうだ。

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