高3アスリート、「次の舞台」へ再始動 受験シフトも

2020/5/30 3:00
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新型コロナウイルスの影響で休校していた中部圏の学校が順次再開し、部活動を含む通常授業がようやくスタートする。3年間の集大成だった夏の全国高校総合体育大会(インターハイ)の中止で多くの生徒は悲嘆に暮れたが、次の舞台での活躍を誓って練習に励み、悔しさを胸に受験勉強に打ち込むなど気持ちを切り替えている。「新たな目標」に向けたそれぞれの再始動を追った。

ビデオ会議システム「Zoom」を使ってトレーニングする豊川高校の水泳部員(愛知県豊川市)

ビデオ会議システム「Zoom」を使ってトレーニングする豊川高校の水泳部員(愛知県豊川市)

「足上げ腹筋、20秒。ヨーイ、はい!」。全国トップクラスの水泳選手が数多く所属する私立豊川高校(愛知県豊川市)は休校中、毎朝ビデオ会議システム「Zoom」で約40人の部員と監督らをつなぎ、体幹を鍛えるトレーニングを積んだ。コーチが画面で姿勢を確かめ、「ひざ伸ばして」「上半身下がってるよ」とアドバイスを送る。

深田大貴監督(49)は「一人でもできるが、全員の方がモチベーションが高まる。泳げなくても、できる限りの練習に取り組んできた」と力を込める。

豊川高校水泳部はインターハイで男女そろって総合優勝したこともあり、全国から有力選手が集まる。新型コロナの影響で寮が閉鎖され、部員のほとんどが帰省していた。6月1日から約2カ月ぶりに全員が集まり、本格的に再開できる運びとなった。

昨年のインターハイで200メートル平泳ぎ全国4位だった3年生の池田りんかさん(17)は「中止は落ち込んだが、今は進学後のインカレを目標に練習に励んでいる。泳げなくて不安だったし仲間との再会がうれしい」と笑顔を見せる。

インターハイはスポーツ推薦に向けて3年生が実力を示す大事な舞台だけに、最後の夏にかけて実力を伸ばした部員のショックは大きい。2年生の秋からタイムが上がったという神偉雄(じん・いお)君(17)は「不安だし不本意。しばらくは練習に身が入らなかった」と振り返りつつ、「泳げることが当たり前じゃないと気づいた。目指すは自己ベスト。皆で刺激し合いながら、新たな目標に向けて頑張りたい」と気を引き締めた。

冬の全国大会に8年連続で出場中の強豪、三重県立朝明高校(四日市市)ラグビー部も6月から部活動を再開する。保地直人監督(45)は「タックルやスクラムなど選手同士が接触する練習はしばらくできない」と悩ましげだ。少なくとも2週間は、走り込みや体幹トレーニングといった感染リスクの低い練習メニューに取り組む。夏合宿を中止する可能性もあり、実戦的な練習を始めるタイミングは手探りだ。

仮に感染の「第2波」があれば、秋の県予選の開催も危ぶまれるが、選手らは聖地花園を目指して「明るく頑張っている」(保地監督)という。

一方、「最後の夏」を経験できないまま、受験勉強に励む生徒もいる。岐阜県立大垣南高校(大垣市)フェンシング部は昨年のインターハイ男子団体で、4年ぶり2度目の優勝を果たした。連覇をかけて特訓を重ねてきたが、3年生13人のうち5人が引退を決め、受験勉強に目標を切り替えた。西脇一徳監督(38)は「引退のタイミングをつくってあげられなかったことが悔しい」と話す。練習を続ける3年生には校内戦など高校生活を締めくくる機会を設けることも考えているという。

(林咲希)

■三重が代替大会を開催 愛知・岐阜も検討
 三重県の鈴木英敬知事は29日の定例記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中止した県高校総合体育大会の代替大会を開催すると発表した。開催種目や日程は検討中で、6月9日に公表する。
 感染対策として、競技ごとに運営指針を作成する。県は開催経費の一部を負担する。鈴木知事は「今までの思いや努力を仲間と発揮できる場を大いに活用してほしい」と述べた。
 愛知県高校体育連盟は競技ごとに3年生の集大成になる大会の開催について検討を進めており、6月上旬に結論を示す予定だ。岐阜県高体連も各競技の担当部門で、感染対策を踏まえた形の代替の大会を実施できるか検討を続けている。
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