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日立、「ルマーダ」核にデジタル事業を加速

オンラインで記者会見する日立の河村執行役専務

日立製作所は29日、2021年3月期の営業利益(国際会計基準)が前の期と比べて44%減少し、3720億円になる見通しだと発表した。新型コロナウイルスの影響で航空や自動車、ビル関連などの需要低迷を見込む。22年3月期に売上高営業利益率で10%超という目標達成のため、重点を置くデジタル事業「ルマーダ」の拡大を急ぐ。

「新型コロナの影響は通年で出てくるが、7割超は前半に出る」。29日のオンライン会見で日立の河村芳彦・執行役専務兼最高財務責任者(CFO)は、こう語った。21年3月期の売上高は前期比19%減の7兆800億円を見込む。コロナは売上高で1兆200億円、営業利益で3010億円のマイナス要因になる。

特に影響が大きいとみるのがインダストリー部門で、航空や自動車関連などの受注減を予想する。モビリティー部門でもコロナの感染拡大でイタリアの工場を一時閉鎖した鉄道関連が大きく落ち込む見通し。ビルの新設需要が減り、エレベーターなど関連機器にも影響が及ぶという。河村CFOは「非接触や自動化、遠隔監視などで新たな受注を広げる」と述べた。

同社は22年3月期を最終年度とする3年間の中期経営計画で、最終年度に売上高営業利益率を10%超に高める目標を掲げている。成長のけん引役を果たすと期待しているのが、22年3月期に1兆6000億円の売上高を目指すルマーダだ。

ルマーダでは日立が持つIT(情報技術)やOT(制御・運用技術)を結集し、あらゆるモノがネットにつながるIoTや人工知能(AI)を使って顧客が持つデータから新たな価値を生む。

ルマーダについては売上高を算出する内訳の定義を見直した。従来はソリューションとして横展開しやすい「コア事業」と、顧客ごとにシステムを構築する「SI事業」だった。今回からSI事業の定義を変えた。

単なるシステム構築ではなく、AIやIoTを使って建設機械の自動運転を実現するなど、各部門の製品をデジタル技術で変革する事業として「関連事業」に変えた。日立グループ全体がルマーダに関連するという姿勢を鮮明にした格好だ。

20年3月期決算でルマーダ事業全体の売上高は旧定義だと1兆2210億円だが、新定義だと1兆370億円に減る。22年3月期見通しは1兆4000億円で、現状では2000億円足りない。今後の拡大が必要だ。

ルマーダの導入事例「ユースケース」は19年12月で約750件だったが、20年3月期には1000件へ増えた。一方で海外売上高比率は旧定義で1割程度と、ほぼ変わっていない。新定義だと4割程度にあたり、22年3月期は5割を目指す。

目標の達成には海外売上高比率の向上と、幅広い業種に短期間でサービスを展開する仕組みの強化が必要となる。課題解決に向けて、4月にはマレーシアのIT企業フュージョテックホールディングスを数百億円で買収した。フュージョテックはAIやビッグデータ関連のサービスに強い。

フュージョテックの買収により、アジア地域で1万社を超える顧客基盤を手に入れることができた。同社は製造や流通・物流、金融などの分野で、AIやデータ分析を使ったソフトウエアをクラウドを通じ提供する「SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)」事業を手掛けている。

データ分析による売り上げ予測や潜在的な優良顧客の洗い出しなど、業種ごとに共通する需要をテンプレート化するノウハウをルマーダに吸収することが買収の狙いだ。SaaS事業のサブスクリプション(定額課金)の仕組みも取り込み、日本や北米などでもサービスを展開していく。

それでも最終年度の目標に近づくには、さらなるM&A(合併・買収)や事業提携も必要になる。日立は22年3月期までにルマーダ事業で8000億円超の投資枠を設けている。河村CFOも「目標に足りない2000億円分を上積みするには、M&Aや提携が必要」と意欲を見せた。

ルマーダの強化に向けて、日立の「攻めの姿勢」を示す企業買収や大型投資など思い切った行動が今後も続きそうだ。

(井原敏宏)

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