ふるさと納税 コロナ禍で注目度が増す3つの理由

ふるさと納税
日経マネー
2020/6/9 2:00
保存
共有
印刷
その他

ふるさと納税の利用者数が伸びている。ふるさと納税情報サイト「さとふる」によると、「今年の4月は前年同月比で1.8倍以上寄付額が増えた」(広報の道岡志保さん)。巣ごもり需要があることを考えても、著しい伸びだ。その背景を探ると、コロナ禍による特殊な環境で、ふるさと納税を行うメリットが高まっている事情が見えてきた。

■今だからこそ手に入る返礼品が登場

ふるさと納税とは、総務省の指定を受けた自治体に寄付をすると、税制優遇が受けられる制度。自治体から送られてくる「返礼品」が人気で、「実質2000円で全国の地産品が手に入る」として利用者が年々増えている。

今、ふるさと納税を行うメリットは3つある。1つ目は、平時であれば扱いがなかったはずの返礼品が登場していること。ふるさと納税情報サイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンク広報の田中絵里香さんは、「外出自粛などを受けて販売量が減少したことをきっかけに、行き場を失った商品をふるさと納税の返礼品として新たに登録している自治体もある」と指摘する。

例えば、岩手県西和賀町は、花見客減少に伴って売れ残ってしまった桜餅を返礼品として登録した。例年であれば店頭販売のみで必ず売り切れる人気店のものだという。5000円の寄付で、冷凍状態の桜餅12個が届く。

大分県臼杵市の返礼品は、地元の銘菓「臼杵煎餅」の伝統製法を体験できるキット。コロナ禍で休業した菓子メーカーが、自宅で煎餅の手塗り体験が行えるよう新たに開発したものだ(同社は5月下旬から営業を再開)。ゴールデンウイークの需要増に向けて事前に生産していた素焼き煎餅を活用した。手塗りのための生姜(しょうが)糖と刷毛(はけ)も同封されており、自宅で用意するのは耐熱容器と水だけ。「簡単に楽しめるので、子供がいる人にもお薦め」(田中さん)。返礼品が届く寄付額は5000円からだ。

大分県臼杵市の返礼品の臼杵煎餅手塗り製法体験キット

大分県臼杵市の返礼品の臼杵煎餅手塗り製法体験キット

■寄付額当たりの内容量が増えた返礼品も

2つ目のメリットは、手ごろな寄付額で手に入るようになった返礼品もあること。「さとふる」の道岡さんによると、「返礼品の内容はそのままに、寄付額を引き下げるなどの工夫をする自治体が4月下旬ごろから増え始めた」。商品の在庫過多や流通価格の下落を受けてのことだ。

香川県三豊市では地元のブランド牛「オリーブ牛」を返礼品として用意している。寄付額は2万円からと、新型コロナ流行前よりも約5割も低い設定になっている。

香川県三豊市の返礼品のオリーブ牛。旅行客の激減などで需要が落ち込んだという

香川県三豊市の返礼品のオリーブ牛。旅行客の激減などで需要が落ち込んだという

寄付額は変えずに返礼品の内容を増やした自治体もある。鹿児島県中種子町では、地域イベントなどでの販売機会が減少した安納芋の返礼品を増量。500グラム入りのものを4袋としていたが、5月上旬から7袋へと変更した。寄付額は1万円で据え置いている。

■新型コロナで打撃を受けた事業者の支援ができる

3つ目のメリットは、自宅に居ながらコロナ禍で苦境に立たされた事業者を支援できること。寄付者が返礼品を受け取れば、提供した事業者に商品相当の金額が支払われる。ふるさと納税を利用することは、各地域の事業者の売り上げ増につながるのだ。

「ふるさとチョイス」や「さとふる」などのふるさと納税情報サイトのトップページでは、新型コロナで特に深刻な打撃を受けている事業者の返礼品のリストを掲載している。例えば、コロナ禍による一斉休校で、売り先がなくなった牛乳を返礼品としている自治体などがピックアップされている。

そうした中から寄付先の自治体を選べば、コロナの影響で売り上げを大きく減らしている事業者を支援をすることも可能。返礼品が不要なら、クラウドファンディング型のふるさと納税で支援することもできる。

いずれふるさと納税を始めようと考えていたならば、今が好機といえる。家で過ごす時間が長く確保されているため、例年よりも返礼品をじっくりと選ぶことができるのもポイントだ。

■収入減少リスクがある人は注意が必要

ただ、今年のふるさと納税では注意したい点がある。

実質負担2000円でできるふるさと納税の寄付の上限額は、給与収入や家族構成などに応じて決まる(優遇の対象となる所得税や住民税は個人によって異なるため)。コロナ禍による業績悪化で残業代やボーナスがカットされて給与収入が減少すると、この上限額が少なくなる可能性があるのだ。コロナ禍の影響を受けている業種は幅広い。昨年と同水準の給与収入を見込んでふるさと納税をしている人で、収入減のリスクが高まっている場合は特に注意が必要だ。

上限額の目安は、総務省ふるさと納税ポータルサイトの他ふるさと納税情報サイトなどで簡単に試算できる。例えば独身で給与収入が年350万円であれば、寄付額は3万4000円までが目安となる。だが、同じく独身でも給与収入が年300万円になると、目安額は2万7000円まで(「さとふる」で試算)。

コロナ禍による収入減が懸念されるなら、給与収入の水準を「昨年並み」「1割減」など何パターンか想定し、それぞれに対応する上限額をサイトで試算しておくといいだろう。

(大松佳代)

日経マネー 2020年7月号 アフターコロナの勝ち組日本株

著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP
価格 : 750円 (税込み)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]