「オンライン疲れ」投稿80万件 在宅生活に悩み

2020/5/29 10:37
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タブレット端末を使って離れた友人と酒を飲む千葉県の男性会社員(5月14日)

タブレット端末を使って離れた友人と酒を飲む千葉県の男性会社員(5月14日)

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための在宅生活で、スマートフォンやパソコンを使った人との交流に疲れを感じる人が増えている。「オンライン疲れ」の単語を含むツイッター投稿は2月以降、累積で約80万件。離れた人と気軽にやりとりできる一方、いつも誰かとつながる状況が思わぬ負担となり、仕事では業務過多に陥る場合も。緊急事態宣言が解除されても在宅勤務を続ける企業は多く、専門家は適度な利用を勧める。

「かんぱーい!」。5月上旬、千葉県船橋市の男性会社員(31)は自宅で机の上に置いたタブレット端末に向け、ハイボール入りのグラスを持ち上げた。画面に映る友人も同じしぐさで応じる。遠隔会議システムを使った飲み会は大型連休中、これで3度目だ。

東京など7都府県に緊急事態宣言が発令された翌日の4月8日以降、原則在宅勤務となり、仕事で必要になった遠隔会議システムの練習を兼ねて、同月中旬、友人と初めて「オンライン飲み会」を開いた。外で飲むより安く済むのが気に入り、それから週に1~3回のペースで参加した。

閉店時間を気にしなくて良いため、ついつい飲み過ぎてしまうのが悩みだ。頻繁に誘われるようになったが、「在宅なので断る理由を探すのが大変。まさか二日酔い続きになるとは思わなかった」とこぼす。

NTTコムオンライン・マーケティング・ソリューション(東京)がツイッターの投稿内容を分析したところ、2月1日~5月14日に「オンライン疲れ」という単語を含んだ投稿は計約80万件あった。多くの企業が在宅勤務を導入した4月上旬から増え、大型連休後の5月13日には1日で約6万2千件つぶやかれた。

東京都内の女性会社員(26)は業務連絡などでひっきりなしに届くメールやチャットのメッセージにストレスを感じ始めている。同じく在宅勤務する同僚の様子が分からないため、電話は極力避け、文字でのやりとりが多くなった。「会話と同じペースで話が進むので、常に集中していないと大事な連絡を見逃してしまう」とため息をつく。

通勤や客先への移動時間は減った。一方でそれまで1日に多くても4回程度だった会議が、最近はオンラインで5~6回入る日もある。「効率的に働けるのは良いけれど、在宅でむしろ多忙になった。毎日出勤するのと、どちらがいいか……」

企業向けにメンタルヘルスのコンサルティングを行う「ピースマインド」(東京)では3月末以降、契約企業の社員からの相談が増えた。新型コロナに関する相談内容のうち3割強は在宅勤務のストレスについてで、担当者は「慣れないオンラインでのやりとりに気疲れを感じる人が多いようだ」と話す。

政府は緊急事態宣言を全国で解除したが、コロナと生きる「新しい日常」で、テレワークなど人との接触を減らす取り組みを継続するよう求めている。在宅勤務を継続する企業も多い。

東京女子大の橋元良明教授(情報社会心理学)は「オンラインでのコミュニケーションは対面に比べ、身ぶりなどの非言語的な情報量が減る。相手と場を共有することで生まれる安心感も得にくく、ストレスを感じやすい」と指摘する。

画面に相手の顔が大きく映し出されるウェブ会議などでは「自分の領域を侵害されていると無意識に感じる場合もある」としたうえで「オンラインでのやりとりは必要性を見極め、むやみに増やしすぎないことも大切だ」と話している。

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