米ミネアポリスで暴動 警官の暴行で黒人死亡、抗議過激に
【シカゴ=野毛洋子】米ミネソタ州ミネアポリス市で27日、数千人規模の暴動が起きた。警官の暴力により黒人男性が死亡したと抗議する市民による放火や店舗荒らしが広がり、新たに死者を出す騒ぎとなった。市長は州兵の支援を求め、市警察は催涙ガスやゴム弾を発射し対応した。
米国では5月にジョージア州でジョギング中の黒人男性が白人に射殺されたほか、ニューヨークでも散歩中の黒人男性が白人女性によって警察に通報されるなど人種差別事件が相次いでいる。新型コロナウイルスの社会不安と相まって暴動が起きやすい状態にある。
ミネアポリスでは25日、白人の警官がジョージ・フロイドさん(46)をにせ札偽造の疑いで逮捕し手錠をかけた後、道路に横たわるジョージさんの喉元を膝で押さえ続けた。ジョージさんはその後病院に運ばれ死亡した。逮捕に関わった警官4人は事件翌日に解雇された。
「息ができない」と助けを求めるジョージさんの様子は現場に居合わせた市民がSNS(交流サイト)にビデオ投稿し、全米に広がった。26日に始まった抗議デモは当初は穏やかだったが、建設中のビルなど16カ所が放火されるなど騒ぎが拡大した。
大型小売店ターゲットなど複数店舗に人びとが押し寄せ店舗の窓やドアのガラスを割り、商品を持ち去った。米メディアによると男性1人が店主によって射殺された。
米司法省と米連邦捜査局(FBI)は28日、前警察官が故意に人権を侵害し連邦法に違反した疑いがあり、犯罪事件として捜査すると発表した。トランプ米大統領は27日にフロイドさんの家族に悔やみを述べるツイートを投稿している。
米国では5月に入り黒人への人種差別事件が相次いでいる。ジョージア州の黒人男性射殺に加え、25日にはニューヨークのセントラルパークで黒人男性が犬をつなぐように白人女性に注意したところ「黒人男性に脅かされている」と警察に通報された。黒人社会には長年の警察の暴力への鬱憤も蓄積している。