避難所「3密」回避に訓練 中部の自治体、風水害に備え

2020/5/29 3:00
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新型コロナウイルスの感染拡大への警戒が続く中、自然災害への備えが課題になっている。近年豪雨被害が起きている岐阜県内で28日、いわゆる「3密」(密閉、密集、密接)を防ぎながら避難所を運営する訓練が開かれた。住民の安全な避難と感染対策をどう両立させるのか。風水害のリスクが高まる季節を控え、自治体職員らは頭を悩ませている。

避難者の居住スペースは、密にならないよう間隔を空けた(28日、岐阜県美濃加茂市)

避難者の居住スペースは、密にならないよう間隔を空けた(28日、岐阜県美濃加茂市)

「発熱はないですか。避難所では人との距離を2メートル保ってください」。28日午後、岐阜県美濃加茂市の体育館で、災害を想定した避難所運営の訓練があった。市職員ら約50人が参加し、受け付けでの検温や体調のチェック、飛沫を防ぐスペースの設置手順を確かめた。

多くの住民が押し寄せる避難所で、3密をいかに防ぐかが訓練のテーマだ。段ボールで組み立てた避難者用のスペースは互いに2メートルの距離を空け、受け付けは透明のアクリル板で仕切った。通常は520人を収容できるところ、感染対策のために半分以下の226人しか受け入れができない。

新型コロナの感染拡大を受け、市は避難の際のチェックカードを独自に作った。マスクの着用と検温に加え、風邪の症状など健康状態の記入を求める。感染が疑われる場合は専用スペースに待機してもらい、医療機関の指示を仰ぐ。

避難所の入り口で検温して体調を確認する(28日、岐阜県美濃加茂市)

避難所の入り口で検温して体調を確認する(28日、岐阜県美濃加茂市)

参加した男性職員の一人は「早く避難したいとの気持ちが先走り、前の人との距離を保てなかった」と振り返った。市の佐藤文彦総務部長は「災害はいつ起きてもおかしくない。感染リスクをゼロにはできないが、事前の備えを進め、住民にも避難所での感染予防の意識を持ってもらいたい」と強調した。避難所に医療スタッフが常駐していないといった課題もあり、市は今後、保健所と意見交換しながら運用を見直していく方針だ。

近年は台風や局地的豪雨による大規模な水害がほぼ毎年起きている。昨年の台風19号では長野県の千曲川流域、2年前の西日本豪雨では岐阜県関市で被害が出た。海抜ゼロメートル地帯が広がる濃尾平野や紀伊半島は水害のリスクが高い。岐阜県の飛騨地方や長野県では、4月下旬から最大震度4を含む体に感じる地震が多発している。

国は4月、災害時の新型コロナ対策を自治体に通知。▽通常よりも多くの避難所の開設▽発熱などの症状が出た人の専用スペースの確保▽ホテルや旅館の活用――などを求めた。自治体も動き始め、岐阜県は5月11日、避難所の感染症対策のガイドラインを公表した。

三重大大学院の川口淳准教授(地域防災)は「大規模水害が必ずどこかで発生することを念頭に、自治体は感染拡大との『複合災害』に備えた対応を考える必要がある」と指摘。「住民も避難バッグにマスクや消毒液を入れ、不特定多数が使うトイレを使わなくて済むよう簡易トイレを持ち込むなど、新しい避難のあり方を事前に考えてほしい」と呼びかける。

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