北九州「第2波」か、新たに21人感染 目立つ経路不明

2020/5/28 20:09 (2020/5/29 5:35更新)
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28日から再び臨時休館に入った九州鉄道記念館(北九州市門司区)

28日から再び臨時休館に入った九州鉄道記念館(北九州市門司区)

新型コロナウイルスの感染者が再び増え始めた北九州市で28日、厚生労働省のクラスター(感染者集団)対策班による感染経路の調査が始まった。同市では28日に新たに21人の感染が明らかになるなど23日から6日連続で計43人の感染を確認した。北橋健治市長は「このまま続くと感染拡大の『第2波』に襲われる」と警戒。市は28日から43施設を臨時休館し感染拡大を防ぐ対策を急ぐ。

「また休館に戻ってしまった」。25日から約3カ月ぶりに営業を再開した九州鉄道記念館(同市門司区)の担当者は肩を落とす。27日までの3日間で計約150人が訪れ、にぎわいが戻り始めたところ、同館を含む43施設の28日から6月18日までの休館が決まった。受付や館内案内の職員らも出勤を取りやめた。

近くに住む女性(63)は孫の男児(3)と施設の外から展示車両を眺めて「再開したばかりなのに残念」とぽつり。レトロな建築物が人気の門司港周辺の人通りもまばらで、JR門司港駅近くのカフェの女性従業員は「休業要請の解除後は一時的に人出も増えたが、また閑散としてしまった」と話す。

推計人口93万人の北九州市では4月初旬に医療機関でクラスターが発生したが、その後は感染者が減少し、同30日から5月22日までゼロが続いた。だが28日までの6日間で計43人の感染が判明。このうち21人は感染経路が不明で居住地域も分散している。性別は男性17人、女性26人。年齢は10~80代で、職業も学生から市職員、医療スタッフまで様々だ。市は感染拡大の原因の特定に苦労している。

携帯電話の位置情報をもとにドコモ・インサイトマーケティング(東京・港)が提供する滞在人口の推計データによると、JR小倉駅(同市小倉北区)周辺の28日午前8時台の人出は、福岡県などで緊急事態宣言が解除される前日の13日と比べて21%増加。通勤などで外出する人が大幅に増えたとみられる。

北橋市長は28日の記者会見で「新規感染者の濃厚接触者全員をPCR検査する」と説明。27日夜時点で判明した濃厚接触者約130人のうち47人の検査を終えたとし「この2~3日で残る濃厚接触者も検査し、北九州が第2波の渦にのまれないよう全力を尽くす」と強調した。

短時間で感染の有無を判定できる抗原検査キットの優先的な提供を国に求める意向も表明。市による独自の緊急事態宣言や事業者への休業要請については「現時点では考えていない。緊急事態宣言は伝家の宝刀。何度も使うものではない」と慎重な姿勢をみせた。

影響は関門海峡を挟んで北九州市と隣接する山口県下関市にも及ぶ。同市は28日、水族館など県外客の利用が多い一部の市営施設の休館期間を6月18日まで延長すると発表した。

北九州市に派遣された厚労省のクラスター対策班は今後、感染者らの行動歴などを洗い出し、感染源の特定を急ぐ。感染者や家族から交友関係、立ち寄り先、体調の変化などを聞き取り、点と点をつなぐ形で感染源を探していくという。

国際医療福祉大の和田耕治教授(公衆衛生学)は「市民に早めに注意を呼びかけた対応は良かった」と評価。その上で「休業要請や外出自粛を呼びかける緊急事態宣言には至らなくても、自治体単位で中規模以上の感染が発生することは全国どの都市でも起こりうる。そうした心づもりで日ごろの感染対策を徹底してほしい」と話している。

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