東レ、今期の純利益5割減へ コロナで繊維など苦戦

2020/5/28 19:47
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東レは28日、2021年3月期(国際会計基準)の連結純利益が国際会計基準で算出した前期の概算値よりも52%減少し400億円になりそうだと発表した。新型コロナウイルスの影響で航空機や衣料品関連が苦戦し、繊維や炭素繊維事業の低迷を見込む。一方でマスクや防護服、環境・エネルギーや電子部品関連は堅調とみて、これら分野の需要獲得を急ぐ。

炭素繊維複合材料事業が赤字に転落する

20年3月期の連結決算(日本基準)は売上高が前の期比7%減の2兆2146億円、純利益が同30%減の557億円だった。東レは今期から国際会計基準を適用する。売上高にあたる売上収益は20年3月期の国際会計基準概算比で8%減の1兆9200億円、本業のもうけにあたる事業利益は同44%減の700億円を見込む。7~9月にコロナの感染拡大がピークアウトし、10月以降に国内外の経済が回復基調をたどることが前提だ。

主力事業へのコロナの影響は大きい。繊維事業は今期の売上収益が前期の国際会計基準概算比で13%減の7250億円、事業利益は37%減の370億円となる見通し。衣料品や自動車向けで、顧客側の生産停滞や消費低迷が響くとみている。

炭素繊維複合材料事業は航空旅客の減少がマイナス要因だ。主要顧客である米ボーイングは生産減が避けられない見込み。前期は国際会計基準換算の事業利益が230億円の黒字だったが、今期は120億円の赤字に転落する見通し。炭素繊維複合材料は「足元で減産などの生産調整をしている」と明らかにした。

同日に電話会見した阿部晃一副社長は「10月以降に全般的に回復する見通しだが、サプライチェーンの関係で繊維と炭素繊維の回復は下期か、それよりも遅れる可能性がある」と述べた。

一方で「炭素繊維は磁気テープのように無くなることはない。軽量化のニーズはますます増えている」(阿部副社長)と、事業の将来性は高いという認識だ。引き合いが強い風力発電機向けなどの用途を開拓し、業績の下支えにつなげる。

反転攻勢の種はある。コロナの影響でテレワークや業務のデジタル化が進み、電子情報材料関連は堅調に推移するとみる。有機ELや回路の材料などは下期の需要回復を見込み、拡販を狙う。医療現場で不足している防護服の増産も進める。マスク用の不織布の生産能力は2.6倍に増強し、社会的な要請に応じながら収益源に育てる。

東レが連携するユニクロは今夏にマスク事業へ参入する方針を明らかにしている。東レが供給する通気性や速乾性に優れた「エアリズム」の素材を使い、布製マスクを生産販売する予定。阿部副社長は具体的な数量などは明らかにしなかったが「ユニクロとマスクの共同開発を進めている。当社の繊維の繊維技術を生かしていく」と語った。

コロナ禍のなかでも成長への投資は維持する方針だ。21年3月期の設備投資額は1630億円と、日本基準の前期比で11%増やす。研究開発費も微増を計画している。新卒採用の計画も変更はないという。いずれも感染収束後の需要拡大を見越した方策だ。サプライチェーンの混乱を抑えながら、いかに成長の芽を伸ばしていくか。未曽有の危機の中で、東レの耐久力が試されている。

(福本裕貴)

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