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SNSと政治、緊張  トランプ氏「規制か閉鎖」

(更新)
米ツイッターはトランプ氏の郵便投票に関する投稿に対し、事実確認を促す注記をつけた

【シリコンバレー=奥平和行、ワシントン=中村亮】大統領選まで半年を切った米国で、トランプ大統領がツイッターへの攻撃を強めている。同社がトランプ氏の投稿に対して事実確認を呼びかける注記を加えたことに不満を持ったためだ。SNS(交流サイト)の規制や閉鎖まで浮上し、表現の自由と安全・安心の確保に腐心してきた運営会社の苦境は深まっている。

「SNSを強力に規制するか、閉鎖させる」。トランプ氏は27日、ツイッターで不満をぶちまけた。同氏はツイッターで8000万人超のフォロワーを抱え、野党・民主党の大統領候補指名が確実なバイデン氏の550万人を大きく上回る。支持基盤の保守層に直接語りかける有力な道具だったが、運営企業との間の亀裂が鮮明になった。

きっかけはトランプ氏の投稿に対してツイッターが26日、誤解を招くおそれのある情報を含むとして、閲覧者に事実確認を促す注記を加えたことだ。米紙ワシントン・ポストによると、トランプ氏の事実誤認や誤解を招く発言は大統領就任後、1万8千回にのぼり、その約2割がツイッター経由だった。

従来は自由な発言を認めていたツイッターの方針転換にトランプ氏は激怒し、強硬策を打ち出した。マクナニー大統領報道官によると、トランプ氏は28日にもSNSを対象にした大統領令に署名する。米メディアによると、SNS運営企業が投稿内容に介入することを制限するとみられる。

27日の米株式市場でツイッターの株価は一時、前日終値より5%超下落した。先行きは不透明だが、事業の制約が増えることを懸念する売りが相次いだ。トランプ氏の支持層を中心にツイッターへの批判も高まり、ジャック・ドーシー最高経営責任者(CEO)は27日夜「説明責任を果たすのは自分であり、社員を巻き込まないでほしい」と発言した。

こうした「犠牲」を払ってでも注記を加える方向にかじを切ったのは、誤った投稿内容による弊害が差し迫った課題になっているためだ。16年の大統領選ではSNSを通じた選挙介入や誤情報の拡散が問題となり、利用者の投稿を野放しにしてきた運営企業への批判が一気に高まった。

ただ米国では、表現の自由を個人の権利として重視する傾向が強い。SNS運営企業の対応は割れ、利用者が多い米フェイスブックの姿勢は、自由な投稿を求めるトランプ氏の主張に近い。同社のマーク・ザッカーバーグCEOは27日、保守系のFOXニュースで表現の自由を重視する姿勢を改めて示し、トランプ氏の投稿内容に懸念を持つ人々から強い批判を浴びた。

投稿の自由放任も、中国のような検閲も難しいなか、SNS運営企業は難しい判断を迫られている。フェイスブックは最適なバランスを求め、独立した第三者委員会を立ち上げて投稿の掲載可否の判断を委ねる。元首相や人権活動家、ジャーナリストらを委員に起用し、法律に触れない限り判断を全面的に受け入れるという。

国家でも企業でもない第三者による規制は問題の解決策として注目を浴びる一方、「30億人が使う情報基盤を寄せ集めの委員が統治できるのか」など効果を疑問視する声も上がる。

「今年の最大の課題は大統領選への対応だ」。ツイッターのドーシーCEOは周囲にこう語っていたという。同社やメディア関連企業の対応に対しては「改善が進んだものの、十分ではない」(米カリフォルニア大学バークレー校のリッチ・ジャロスロフスキー講師)との指摘がある。

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