対中姿勢、米は強硬 欧州は慎重
【ワシントン=永沢毅】米政権は中国への制裁発動を含めた対応措置の準備を進めており、トランプ大統領が近く最終判断を下す。中国共産党関係者への制裁に加え、香港に関税と査証(ビザ)で特別扱いを認めてきた優遇措置を見直す可能性もある。欧州も警告を発するが、強硬な米国に比べると慎重な姿勢だ。
ポンペオ国務長官は27日の声明で、香港はもはや一国二制度に基づく「高度な自治」を維持できていないとの判断を示した。香港への優遇措置は「継続に値しない」と打ち切りを示唆した。
香港原産品には対中制裁関税は適用されない。香港の市民は中国本土の居住者と比べ、米国のビザ取得も容易だ。これらの優遇がなくなれば、自由な人の往来やビジネスに支障を来しかねない。
米議会でも与野党ともに対中強硬論が勢いを増す。野党・民主党が多数派の下院は27日、ウイグル人権法案を賛成413、反対1の圧倒的な賛成多数で可決した。少数民族ウイグル族への弾圧に関わった中国当局者への制裁に道を開く内容で、中国の反発は必至だ。
欧州連合(EU)のミシェル大統領は26日「我々は中国の行動について甘くない」と警告した。だが欧州諸国は、制裁に言及する米国ほどの強硬姿勢ではない。
欧州から遠い中国に対し、軍事的脅威への警戒感は強くない。香港の宗主国だった英国も28日、米やオーストラリア、カナダの外相と共同で懸念声明を出すにとどめている。