米ディズニー再開へ 「夢の国」もタッチレス

2020/5/28 11:30
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米ウォルト・ディズニーはフロリダ州にある「ディズニーワールド」を7月11日に再開する計画を公表した(写真はディズニー提供)

米ウォルト・ディズニーはフロリダ州にある「ディズニーワールド」を7月11日に再開する計画を公表した(写真はディズニー提供)

【シリコンバレー=佐藤浩実】新型コロナウイルスの影響で休業していた米国のテーマパークが再び門を開く。米ウォルト・ディズニーは27日、南部フロリダ州にある「ディズニーワールド」を7月から再開する計画を明らかにした。非接触決済やパレードの見送りなどでタッチレスとなる「夢の国」の姿は、再開の道を探る日本の娯楽産業にも影響を与えそうだ。

「迎えられるゲストの人数は少なくなるが、妥協のないディズニーの体験を届けると確約する」。27日に米経済番組に出演したディズニーのボブ・チャペック最高経営責任者(CEO)は3月中旬以来、約4カ月ぶりとなるディズニーワールドの再オープンに自信をのぞかせた。

中国・上海のディズニーランドは5月、1日の入場者数を収容人数(8万人)の2割に設定して再開した。当初は午後7時半だった閉園時間を現在は午後8時半に延長し、人手が戻りつつある。

ただ「マジックキングダム」など4つのテーマパークからなるフロリダのディズニーワールドの再開は別格だ。総面積は約110平方キロメートルで埼玉県川越市と同規模。コロナ前は1日あたり約16万人が訪れ、従業員は7万7千人に上る。ディズニーの2020年1~3月期の純利益は前年同期比9割減り、業績回復にも欠かせない存在だ。

とはいえ、再開でコロナの集団感染が起これば評判は地に落ちる。そのため世界で最も大きな夢の国は、4カ月前とは異なる姿で7月11日の再開を迎える。ディズニーが立地自治体に提出した資料に並ぶのは、コロナ感染を防ぐ対策の数々だ。

まずはゲストに、マスクやフェイスカバーの着用とテーマパークの入り口での検温を求める。熱がある場合は入園を控えてもらう。来場者を迎えるキャストも皆、マスク姿だ。

園内のアトラクションやレストラン、モノレールなどでの体験も変わる。具体的な数は明かしていないが、来場者が互いに約2メートルの距離を取れるよう一度に利用できる人数を絞る。レストランでは「マジックバンド」と呼ぶ腕輪型の独自端末や、「アップルペイ」などスマートフォンでの非接触決済を促す。スマホからメニューを注文できる店舗の数も一段と増やす。

一方で、安全を優先して諦める催しもある。例えば、花火やパレードといったディズニーの目玉イベントは再開後も当面開催しない。人混みを防ぐのが難しいとみるためだ。握手やハグなどキャラクターとの触れ合いも控えてもらう。テーマパークの「新常態」に対する理解を促すため、園内に新しいルールを示す看板を設置する。

夢の国にいても「コロナの現実」を思い出さざるを得ない再開計画を、市場はまだ評価しきれずにいる。27日の米市場でディズニーの株価は前日比で0.48%の小幅上昇にとどまった。SNS(交流サイト)でも再開を喜ぶファンと、夏場のマスク着用を嫌がる声が交錯する。チャペック氏が宣言するように「妥協のない体験」を提供できるかどうかが試される。

多くのテーマパークが集積するフロリダ州では、米コムキャスト系の企業が運営する「ユニバーサル・スタジオ」も6月5日から部分的に再開する。プールを中心とする「シーワールド」の運営会社は6月11日の再オープンをめざす。

日本の東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランドは現時点で再開時期を明らかにしていない。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)を運営するユー・エス・ジェイ(大阪市)も具体的な再開日は未定としている。同社は「入場制限などの可能性を含め、再開時の対応を総合的に検証する」(広報)という。

日本でテーマパークを訪れる人は年5280万人(18年)と、国別では米国に次いで多い。小規模な娯楽施設も含め、米国での再開の道のりから学べることは多そうだ。

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