にぎわい戻らぬ老舗商店街 高齢者、感染恐れ足遠のく

2020/5/27 20:04
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新型コロナウイルスの感染者が抑制されているとして、中部3県に対する政府の緊急事態宣言が解除されてから28日で2週間となる。休業要請は徐々に緩和され、多くの店が営業を再開したが、地域の商店街のにぎわいは戻っていない。常連だった高齢者らが感染を恐れて外出を控えており、店主らの見通しは暗い。「もう立ち行かない」と嘆きの声も上がる。

人通りのまばらな雁道商店街(名古屋市瑞穂区)

人通りのまばらな雁道商店街(名古屋市瑞穂区)

戦前から続き、下町情緒があふれる雁道商店街(名古屋市瑞穂区)。以前から廃業する店舗が相次いでいたが、感染拡大が追い打ちをかけ、下りたままのシャッターが目立つ。老舗喫茶店を営む女性(64)は「常連のお年寄りや家族連れが来なくなった。(2008年の)リーマン・ショックのときよりも厳しく、これほど人が少ないのは初めてだ」とこぼす。

ある飲食店は売り上げが前年同時期の2割ほどに落ち込んだ。外出自粛により、近隣で働く人の来店がほぼなくなり、男性店主(49)は「街に人が戻ってくるのは当分先なのでは」と不安げだ。副業で生計を立てることも考え始めたという。

約1200店が軒を連ね、近年多くの外国人観光客らが訪れていた大須商店街(同市中区)も、以前のにぎわいからはほど遠い。人出は戻りつつあるが客が集まるのはスーパーなど一部に限られ、商店街連盟の堀田聖司会長は「地元の高齢者が感染リスクを恐れて街に出なくなった」と話す。

明治時代から100年以上続く「阿己雪漬物店」は大型連休明けに再開したが、売り上げは前年同時期の1割ほどにとどまる。5代目店主の浅井泰雄さん(56)は「お客さんの警戒感は強い。できれば息子に継いでほしいが、このままでは私の代で閉めることを考えないといけないかも」とため息をついた。

呉服店を営む男性(72)は「売れるのは手作りのマスクくらいだ」と苦笑い。観光客に味噌カツサンドなどの「名古屋めし」を提供してきた飲食店主の女性(76)は「食材を仕入れても腐らせてしまう」と話す。今は賞味期限の長いソフトクリームなど数点に商品を絞っているという。

愛知県は商店街向けの独自の支援制度を設けた。新型コロナ対策で新事業を始めた商店街に対し、最大180万円を出す。老舗店舗が集う円頓寺商店街(同市西区)は支援金を活用し、商店街内の飲食店にテークアウトやデリバリーの注文をできるウェブサイトを立ち上げる予定だ。

感染防止対策も欠かせない。岐阜市の岐阜柳ケ瀬商店街は300人の組合員にマスクを配り、アーケードの一部を開けて換気にも努める。振興組合連合会の林亨一理事長は「『店を閉めろ』といった苦情が寄せられる時期もあったが、最近は応援のメッセージも届いている。今が踏ん張りどころだ」と意気込んだ。

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