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中部銀次郎語録 珠玉の言霊10(上)

2020/6/4 3:00
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中部銀次郎さんがのこした言葉は、ゴルフの神髄を表している。深く心に残り、ゴルフの奥深さを味わわせてくれる。もちろん、上達への大きなキーワードでもある。そして、それはビジネスにも通じ、普段の生活にも役立つ珠玉の言葉である。これだけはしっかりと覚えておいてほしい、とっておきの中部語録を10選んでみた。(日本経済新聞出版社「書斎のゴルフ 2020特別編集号」から)

なかべ・ぎんじろう 1942年2月16日、山口県下関市生まれ。2001年12月14日逝去。10歳のときに父の手ほどきでゴルフを始め、高校時代からゴルフ界で頭角を現し、甲南大学時代の62年に日本アマチュア選手権で初優勝。以来、64、66、67、74、78年と6度の優勝を成し遂げる。亡くなるまで東京ゴルフ倶楽部ハンディ1。中部さんの言葉を100集めた「中部銀次郎 ゴルフ珠玉の言霊」(日経ビジネス人文庫)は出色の本。
(1)起こったことに鋭敏に反応してはいけない。やわらかくやり過ごす

ゴルフをプレーしていると、いろいろな場面に遭遇します。

林に打ち込んだボールが木に当たってフェアウエーに出てくることもあれば、会心の当たりをしたティーショットが、行ってみたらディボットの跡にあったということも生じます。グリーンをとらえたと思ったボールが、急に吹いてきた風に押し戻されてバンカーに入り、しかもそれが目玉になることだってあります。ラッキーなこともあれば、アンラッキーなこともあるのです。

それがゴルフですが、いちいちそれに一喜一憂していたのでは体が持ちません。いや、体は持つかもしれませんが、不運を嘆き怒っていては、その後の状況判断に悪影響を及ぼしてしまいます。心が乱れて普段通りのスイングもできなくなります。

ミスしたときも同じです。失敗したのはいつだって必然なのですが、ミスをして怒る人がいます。それは自分の実力を過大評価しているといっていいでしょう。怒れば精神状態が正常でなくなります。ゴルフにはいつだって謙虚さが必要です。起こったことに鋭敏に反応してはいけません。やわらかくやり過ごすことです。

(2)すべてのことを「あるがまま」に受け入れる

ゴルフでは何が起こるかわかりません。何が起こってもおかしくないのがゴルフですから、あらかじめそれなりの心の準備をしておく必要があります。

悪いライに止まったボールの不運を嘆くなら、普段からそのための練習をしておけばいいのです。そうすれば、心の平静を失うことがありません。気持ちが動揺すれば、正しい判断はできなくなります。打つ前に心がつまずいてしまうでしょう。しかし、これがゴルフなのだと「あるがまま」を受け入れておけば、覚悟を決めてショットに立ち向かうことができます。気持ちに不純物がなければ、成功する確率は高くなるのです。

今日は体調が悪いからとか、一緒にプレーする相手やキャディーが気に入らないから気分が乗らないとか、風が強いからダメだなどと、スタート前から諦めの口実ばかり考え出すのも好プレーを阻害します。そうではなく、どんなことがあろうが「あるがまま」を受け入れる覚悟を決めておけば、そしてそれがゴルフという球遊びなのだと初めから悟っておけば、心の平静が保てます。そういう覚悟のもとにプレーを進めていくのがゴルフなのです。

(3)言い訳はしない

ゴルフでは、一切の言い訳は無意味です。

たとえどれほど悪い条件のもとでミスを犯したとしても、結局それは、自分の技の未熟さに帰さざるをえません。

バンカーのアゴの下から脱出できずに何打もかかったとしたら、それはバンカーショットの未熟であり、それより前にそこへ打ち込んだ腕の未熟なのです。言い訳をすれば人は同情してくれるかもしれませんが、同情されたからといって、それで事態が変わるわけではありませんし、自分の未熟さが救われるわけでもありません。

むしろ、自分に対しての言い訳が口にのぼったとき、その瞬間、人は自分に対する反省を放棄しているともいえるのではないでしょうか。ミスショットを犯したとき、「あ、いかん」と叫んだり、「あれ、おかしいな」とつぶやいたりするのも言い訳で、一緒に回っている人を不快にします。いつもはそうじゃないんだけどとアピールしたいのでしょうが、そんな言い訳は誰も聞きたいとは思いません。

ミスの原因は自分にあります。そう思えば、言い訳などできるはずがありません。

(4)プレー中は、余計なことは言わない、しない、考えない

ゴルフでは、歩いている時間が長くあります。その間、ナイスショットあるいはミスショットの原因について、自分なりの考えをしっかりとまとめながら歩いているか、それとも害にはなるけど益にはならないことをペチャクチャしゃべりながら歩いているか。この差はとても大きいものです。

ショットの原因を自問自答し究明し整理していくことによって、経験則というものがまとまっていきます。この自問自答は心の中にしまっておくほうがいいものです。口に出して言ってしまうと、言った手前、その通りのことをやってみせなければいけない気になってしまうからです。

言葉が動作を束縛します。言葉が災いのもとになることが多いのです。ものを言うことを我慢する。これが大事です。おしゃべりは多くの場合、結果論であって言い訳が多いですから。

林の中からグリーンを狙ってキンコンカン。そういう無謀なこともやらないことです。特別な何かをしようとするから、良くないことが起こるのです。ショットを曲げたら、確実に安全な場所に出す。それができる人が上手な人、できない人が下手な人です。

プロとアマチュアでは練習量、経験量がまるで違います。プロと同じようにやろうとしてもできないのですから、アマチュアはある程度アバウトな感覚を持ったほうがいいのです。例えば、何が何でも寄せるぞと思って寄せるのがプロ、そう思うと寄らないことが多いのがアマチュアです。寄せようとすることで感覚が研ぎ澄まされるのがプロ、欲ぼけになってしまうのがアマチュアです。

(5)ゴルフは心のゲームである

見えや高望み、あるいは不安や迷い、これらは心の不純物です。

朝一番のティーショットなど、こうした不純物が入り交じっていることが多いので、ミスを犯しやすいものです。打つ前にミスの予感が働くと十中八九は的中します。ところが、周囲のざわめきも他人の目も意識することなく、その一打に集中すると純度の高いインスピレーションが湧いてきます。そういうときはおおむね良いショットができるのですが、残念ながらミスの予感のほうが圧倒的に多いものです。

原因はいろいろあるでしょうが、私は技術より感覚や心の持ちようにあると思っています。例えば、フェアウエーが広く、障害もないホールだと良いショットをする可能性が高く、両側がOBだったり、前方に池やバンカーがあったりするとミスすることが多いのです。

その違いはどこにあるのでしょうか。答えは簡単です。広ければ安心して打てます。狭くて障害があれば安心して打てません。それが正しいスイングをさせたり、させなかったりするだけのことです。

どういう状況に直面しても、常に穏やかな気持ちでプレーを続けることです。良いインスピレーションはそういうときに湧いてくるもの。一打一打、平静に穏やかな気持ちでぬかりなく、ショットを重ねていくしかなく、それをテストするのがゴルフなのです。

心技体のうち最も持続しにくいのが心。技術が低下するのは心に原因があるといっていいのです。体を動かすのも心。自分の心と正直に、素直に、謙虚に向かい合うように努力したいものです。

(次回は6月8日に掲載予定。語録:杉山通敬、文:金子数栄、写真:北川外志広)

「書斎のゴルフ」公式ホームページはこちら。http://syosainogolf.com/index.html

書斎のゴルフ 2020特別編集号 読めば読むほど上手くなる教養ゴルフ誌 (日経ムック)

出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 1,430円(税込み)

中部銀次郎 ゴルフの要諦 伝説のゴルファーに学ぶゴルフの大原則 (日経ビジネス人文庫)

著者 : 本條 強
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 825円(税込み)

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