タイ航空、再建なお視界不良 更生手続き受理

アジアBiz
2020/5/27 13:30 (2020/5/27 22:33更新)
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スワンナプーム空港に駐機するタイ国際航空機(21日、バンコク)=小高顕撮影

スワンナプーム空港に駐機するタイ国際航空機(21日、バンコク)=小高顕撮影

【バンコク=村松洋兵】経営破綻したタイ国際航空は27日、タイの中央破産裁判所に会社更生手続きの申請が受理され、事業を継続しながら再建を目指すこととなった。今後、債務返済やリストラ策を盛り込んだ会社更生計画の作成に着手する。経営立て直しに必要な資金の調達方法などは固まっておらず、再建の道筋はなお見えない。

タイ航空は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で4月以降、全便が運休となり経営に行き詰まった。負債額は2019年末時点で2448億バーツ(約8000億円)に上る。政府は金融機関を通じて500億バーツ規模を融資する方針だったが、同社に求めたリストラ策がまとまらず、法的整理を閣議決定していた。

会社更生手続きの受理により、財産は保全され債務返済は停止になる。8月17日に1回目の債権者集会を開く。タイ航空は債権を持つ金融機関などに減額を求めるとみられる。同社はかねて高コスト体質が問題視されており、債権者の理解を得るには、大規模なリストラが不可欠だ。

地元メディアによると政府内では約2万1000人の従業員を3~5割削減する案が検討されている。だが、プラユット首相は更生手続きについて「破産させず従業員を守るためのものだ」と述べており、どこまで踏み込めるか不透明だ。

事業継続のための資金調達もめどが立っていない。政府が金融支援から法的整理に転換した背景には、公的資金の投入に国民の批判が強まったことがある。中途半端なリストラ策では国民の理解を得ることも、金融機関から追加融資を引き出すことも難しい。債権者集会で更生計画案への同意を得られなければ、破産になる可能性も残る。

再建の鍵を握るのが新しい経営陣だ。25日にタイ航空元社長のピヤサワット氏ら4人が取締役に就任した。同氏は09年に社長に就くと1年目からリストラを通じて黒字転換したが、タクシン元首相派への政権交代に伴い途中解任された経緯がある。タクシン派と対立する現政権になり、再び白羽の矢が立った格好だ。

政府は再建を円滑に進めるため株主構成の見直しにも踏み込んだ。筆頭株主である財務省が株式の一部を政府系投資ファンドの「ワユパック・ファンド1」に売却した。この結果、財務省の持ち分は50%未満となり、タイ航空は法律が規定する国営企業でなくなった。

国営企業は意思決定に際し、そのつど政府の承認手続きが必要で、経営のスピードが遅くなる原因となっていた。政府の影響力を保ちながら「民間企業」とすることで、リストラに反対してきた労働組合の力を弱める狙いもある。

タイ航空は過去に何度も経営改革に挑んだが、利権を持つ政治家や強い労組に阻まれ頓挫してきた。航空需要は24年まで回復しないとされ、経営環境は以前より厳しくなる。タイ航空が再び離陸するには、長年先送りされてきた改革の実行が最低条件となる。

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