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井波律子氏、人物通じて中国文学の魅力伝える

「三国志演義」「論語」など中国古典の現代語訳にも取り組んだ

5月13日に76歳で亡くなった中国文学者の井波律子氏は、「中国の五大小説」など多数の著書を通じて、古典を中心に中国文学の面白さを紹介した。中でも「三国志演義」「西遊記」「水滸伝」「金瓶梅」「紅楼夢」という「五大小説」に登場するアンチヒーローを取り上げた「トリックスター群像」(桑原武夫学芸賞)や56人の波瀾(はらん)万丈の人生を紹介した「奇人と異才の中国史」に見られるように、多彩な人物の魅力を現代によみがえらせた。好調な売れ行きを示した「奇人と異才の中国史」に関しては「人物という具体的なイメージで中国史を語ることを目指した」と話していた。

京都大学に入ったころはフランス文学に興味を持っていたが、「その奥深さにひかれて」中国文学専攻に変更。第一人者の吉川幸次郎氏や作家でもある高橋和巳氏から教えを受けるとともに、中国文学にも造詣の深かったフランス文学者、桑原武夫氏とも親交を結んだ。以来、長年にわたって蓄積した該博な知識をもとに、著書を通じて中国文学・歴史の意外な側面に光を当てる一方、「三国志」「三国志演義」「論語」「水滸伝」といった古典の現代語訳にも取り組んだ。「自分にはあまのじゃくなところがあり、古典に向き合うときも従来とは違った切り口で見たいと考えている」と語っていた。

欧米のミステリーやアメリカンロックを愛した。1960~70年代に活動したザ・バンドが好きで、毎日のように聴いた。2014年4月に日本経済新聞夕刊に寄稿した「こころの玉手箱」では「(ザ・バンドやローリング・ストーンズと)私は同世代であり、彼らのロックを聞くと、鼓舞されると同時に懐かしさも感じる」と書いていた。その文章の読みやすさはロックのリズムが影響していたのかもしれない。

(中野稔)

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