ルフトハンザ、1兆円の公的支援合意 独政府が20%出資

2020/5/26 1:10
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フランクフルト国際空港に駐機中のルフトハンザの航空機(3月)=ロイター

フランクフルト国際空港に駐機中のルフトハンザの航空機(3月)=ロイター

【フランクフルト=深尾幸生】独航空大手ルフトハンザは25日、ドイツ政府から総額90億ユーロ(約1兆560億円)の公的支援を受けると発表した。政府が20%を出資し、経営に一定の影響力を持つ。新型コロナウイルスで世界の航空需要は急減し、当面回復が見込めない状況だ。政府による資本注入と政府保証の借り入れで、苦しくなっている資金繰りを乗り切る。

航空大手は新型コロナの経営への影響が大きく、公的支援を求める動きが相次いでいる。ルフトハンザは傘下にオーストリア航空やブリュッセル航空など各国のフラッグキャリアを抱える。破綻を回避するため資本注入に踏み切った独政府のように欧州各国の政府が追随する可能性もある。経営への国の関与が強まり、ルフトハンザの経営の自由度はいっそう縛られることになりかねない。

ルフトハンザは2023年までコロナ前の需要は回復しないとみており、1万人規模のリストラを検討している。政府が一定の影響力を持つことで、機動的なリストラを進められない可能性もある。

ルフトハンザはコロナで最大95%の便が運休に追い込まれ、3月から独政府などと支援について協議を続けてきた。25日午前に一部メディアが政府との合意が近いことを報じると、ルフトハンザの株価は直近の終値に比べ一時6%上がった。

合意したのは政府直轄の「経済安定化ファンド(WSF)」が中心となる支援案だ。WSFが議決権を持たない「サイレントパーティシペーション」と呼ぶ方式で57億ユーロの資本を注入するほか、第三者割当増資を引き受け、議決権の20%を3億ユーロで取得する。ルフトハンザは政府保証で30億ユーロも借り入れる。

政府は取締役の選任や重要事項の承認を担う監査役会の役員2人を指名するほか、買収の標的になった際に議決権のない資本を議決権株式の5%プラス1株に転換できる権利を持つ。状況に応じて25%超の議決権を握り、重要議案に拒否権が持てるようにする。

協議を通じてルフトハンザの経営陣は政府の議決権取得に抵抗していた。政府内でも経営への関与の是非を巡っては意見が分かれていた。メルケル首相のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は経営の自由を縛ることに反対の立場だったが、連立を組むドイツ社会民主党(SPD)は税金を投入して救済するなら発言権が必要と主張していた。

最終的にWSFを所管するショルツ財務相が所属するSPDが押し切ったもようだ。今回、支援スキームで合意したことで、ルフトハンザの臨時株主総会で承認され、欧州委員会が異議を唱えなければ「1時間に100万ユーロの資金が流出」(カーステン・シュポア社長)とされたルフトハンザの資金繰りは一息つくことになる。

世界の航空大手では、仏蘭エールフランスが株主でもある仏政府の保証で70億ユーロを借り入れるほか、米アメリカン航空や米ユナイテッド航空も米政府の支援を受けるなど、公的支援の動きが広がっている。19日にはタイ国際航空が破産法に基づく会社更生手続きを裁判所に申し立てると発表。4月にはオーストラリアの航空2位、ヴァージン・オーストラリアも破綻した。

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