4月の世界粗鋼生産、コロナ影響で13%減

2020/5/25 20:15
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世界鉄鋼協会が25日までにまとめた世界64カ国・地域の4月の粗鋼生産量(速報値)は、前年同月比13.0%減の1億3710万トンだった。世界各国で新型コロナウイルスの影響が本格化し、主要生産国が軒並み大幅に減少した。一方中国は横ばいを維持し、同国が世界の粗鋼生産に占める割合は6割を超えた。足元のいびつな構造が市場への変調をもたらす懸念が強まっている。

中国の鉄鋼業界の生産は回復している(河南省の製鉄所)=ロイター

世界の粗鋼生産量の前年割れは2カ月連続だ。新型コロナの影響拡大に伴って経済活動の自粛などが広がり、減少幅は前月より拡大した。

国別でみると世界最大の粗鋼生産国である中国は前年同月比で横ばいの8503万トンだった。電炉の操業停止などにより3月は前年を下回ったが、経済活動の回復により持ち直した。1日当たりの粗鋼生産量も約283万トンで、過去3番目に多い水準となるなど生産活動は活発化している。

一方、中国を除く主要国の状況は厳しい。減少が顕著なのはインドで、4月は314万トンと前年同月比で65.2%減少した。当初は4月中旬までだった全土封鎖が延期となるなど経済活動が停止した。現地大手のタタ・スチールのほか、日本製鉄などが買収したAM/NSインディアといった主要メーカーが操業を大きく縮小したことが響いた。

米国は32.5%減の497万トン、欧州連合(EU)は22.9%減の1073万トンとなるなど欧米の生産状況も厳しい。

日本は23.5%減の662万トンだった。4月に入って鉄鋼大手が減産対応を相次ぎ実施。日本製鉄は4月、東日本製鉄所鹿島地区(茨城県鹿嶋市)と、関西製鉄所和歌山地区(和歌山市)で計2基の高炉を一時休止。JFEスチールも西日本製鉄所の倉敷地区(岡山県倉敷市)で、改修工事の前倒しにより高炉1基を一時休止したことが影響した。

世界的に自動車など製造業を中心に急激な回復は見込めず、粗鋼生産の低空飛行は今後も続く見通しだ。一方で、中国の存在感が際立つ状況にある中、日本鉄鋼連盟(鉄連)の北野嘉久会長(JFEスチール社長)は25日、「中国の高水準の鉄鋼生産などが市況の悪化につながることを懸念している」とのコメントを発表した。

現在は中国の生産分を同国の需要が吸収しているが、昨年と比べると鋼材の在庫水準は高いという。熱延コイルなど一部製品で市況が上向く動きも出ているが、中国の旺盛な粗鋼生産により鉄鉱石など原料価格は依然として高止まりする。

「(中国の)今後の状況を注視する必要がある」(北野会長)。コロナ禍からの需要回復が見通せない現状は、鋼材の需給バランスがさらに大きく崩れるリスクをはらむ。鉄鋼業界の苦しい状況はしばらく続きそうだ。

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