10万円給付金「してはいけない」ただ1つのこと
知っ得・お金のトリセツ(11)

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2020/5/26 2:00
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投資の第1ステップは非課税口座のフル活用

投資の第1ステップは非課税口座のフル活用

例の10万円は既に手元に届いただろうか? 新型コロナウイルス対策の特別定額給付金では本来迅速なはずのマイナンバーカード利用のオンライン申請で不備が続出。かえって郵送の方が早い逆転現象も生じているが、全国1741の市区町村中1345(25日現在)では既に給付が始まっている。まだでも焦らずに待とう。

何に使うか。各種調査で今回目立つ三大使い道は「生活費の補填」「貯蓄」「教育費」といったところ。7割超が貯蓄に回ったとみられる11年前の定額給付金に比べ、家計の切迫度を反映し消費に回るお金も多そうだ。使い方は当然、千差万別だが共通して避けたいことが1つある。「知らない間になくなった」という残念な事態だ。

■まずは10万円を目視、認識

ノーベル賞を受賞したリチャード・セイラー教授による有名な「心の会計」説によると、この手のある意味「棚ぼた」のお金はただでさえ無駄遣いされやすい。「お金に色はない」の言葉とは裏腹に人は無意識にお金を色分けするらしい。一生懸命稼いだお金は大事に使おうとする半面、労せず手に入れたお金は散財する傾向があるのが人間だ。だからこそ自分の心のゆがみを認識して意識的に10万円と向き合う心構えが肝要になる。

そのための第一歩。まずは口座を意識してみよう。特別定額給付金の申請書には振り込みを希望する口座のコピーを付ける。申請がまだであればあえて振込先を「いつもの口座」と別にしてみる。日常の給与振り込みや各種自動引き落としの記録に紛れずに10万円を明確に認識できる。

■銀行口座見直しの契機に

さらに一歩進め、給付金を機に預金口座の見直しをする手もある。超低金利下でメガバンクの普通預金金利は0.001%。100万円預けても年間の利息は税前でわずか10円だから、不用意にATMで出金して引かれる手数料100円をカバーするには1000万円の預金が必要になる。一方、ネット銀行の中には普通預金でも0.1%以上とメガバンクの100倍の金利もある。給付金の振込口座にすることでサブバンク活用のきっかけになる。今なら花盛りの「〇×ペイ」といったスマホ決済との連携やポイントサービスの充実ぶりを軸に選んでもいい。

銀行は預金口座を巡る変革のまっただ中にある。利ざやの縮小に耐え切れなくなった銀行にとって個人の小口・多数の預金口座は重荷でしかない。ATM利用や送金に関する手数料に加え、欧米で一般的な口座維持手数料を導入する動きも強まる。利用頻度などで一定の基準を設けた上で月100円、年1200円程度を対象の口座から徴収するイメージだ。複数のメガバンクが今年中の導入を検討している。

■英国では税金分がDC口座に

口座といえば英国には自然と「貯蓄から資産形成」を促す効果のある確定拠出年金(DC)口座がある。日本ではiDeCo(イデコ)の名で知られる個人型DCでは毎年拠出した額が所得から差し引かれて、その分税金がかからないのは日英ともに同じだ。ただ、日本の場合は年末調整や確定申告を経て戻った税金分は今回の特別定額給付金同様、指定の銀行口座への振り込みだから臨時ボーナス気分で使ってしまいがちだ。一方、英国ではあらかじめ税金分がDC口座に振り込まれるという。運用の枠から流れ出ることなく還流し、その分リターン向上が期待できる。制度に詳しいフィデリティ退職・投資教育研究所長の野尻哲史氏は「日本でもマイナンバーを活用すれば同様の制度導入は可能なはずだ」と語る。

■投資デビューを考えよう

マイナンバーの使い勝手向上は政府の動き次第だが、給付金を元手に投資を始めることはすぐに可能だ。「まとまったお金がないから」は投資に二の足を踏むときの決まり文句だが、100円から投資信託の積み立てが可能な昨今、10万円は十分まとまったお金。まずはイデコと少額投資非課税制度(NISA)という二大非課税枠の活用から始めるのが定石だ。この2つの器の中であれば投資で増えたお金に20%の税金がかからない分、お得だ。

■子どもに「ボクの10万円!」と言われたら……

詳しい使い方は別の機会にするが、子どもに「ボクの10万円でしょ。ちょうだい!」と訴えられ閉口している家庭ではジュニアNISAの活用を検討してみてはどうだろう。これまで今イチ人気がなかったが、2023年に廃止が決まったことでかえって使い勝手が向上したという評価がある。口座を開設できるのは19歳以下の未成年で運用は親権者が行う。18歳になるまで非課税で払い出せない制限がネックだったが、廃止になれば気にせず期間約3年限定の投資と割り切ることが可能になる。親のNISA口座と併用できるから子ども1人ごとに年80万円の非課税枠が上乗せされるイメージだ。無論投資には元本保証はなく損失が出れば非課税メリットも無意味になる。投資デビューは無理のない範囲で検討しよう。

山本由里(やまもと・ゆり)


1993年日本経済新聞社入社。証券部、テレビ東京、日経ヴェリタスなど「お金周り」の担当が長い。2020年1月からマネー編集センターのマネー・エディター。「1円単位の節約から1兆円単位のマーケットまで」をキャッチフレーズに幅広くカバーする。

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