室蘭で70年ぶり商業捕鯨再開へ、6月にも漁協と合意

日本小型捕鯨協会(福岡市)が北海道室蘭市を商業捕鯨の拠点にするため、地元漁協などと詰めの協議をしていることが25日分かった。6月にも合意し、早ければ同月中に漁を始める。政府は国際捕鯨委員会(IWC)脱退し、2019年7月にほぼ30年ぶりとなる商業捕鯨を始めた。合意すれば、室蘭でも約70年ぶりの再開になる。
室蘭の追直漁港を拠点にミンククジラを捕獲する。商業捕鯨には室蘭や周辺自治体の漁協との合意が必要だ。捕鯨の説明会と協議は19年秋から数度にわたり開いていた。ただ、新型コロナウイルス感染拡大が響き、進んでいなかった。
水揚げしたクジラの解体場は青森県八戸や釧路、網走などにある。室蘭は中間地点にあたるため、拠点開設の意義は大きい。クジラは餌を求めて北上するため、八戸沖で水揚げが少なければ室蘭沖で漁をしていく。
八戸沖での操業で一定の成果が出ており、拠点化は来年以降になる公算が大きい。ただ日本小型捕鯨協会の貝良文会長は「クジラは餌がなくなると一気に北上するため、八戸での漁が振るわなければすぐ室蘭で始めるかもしれない」と話す。
室蘭は天然の良港として知られ、かつて捕鯨基地がおかれていた。現在も6~8月にはクジラを船上から観察する観光ツアーが人気を集めている。室蘭市のマスコットにはクジラのキャラクターが使われている。