行き場失う愛煙家 「3密」回避で喫煙所閉鎖

2020/5/23 10:25
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封鎖された新宿中央公園の喫煙所(東京都新宿区)

封鎖された新宿中央公園の喫煙所(東京都新宿区)

新型コロナウイルスの影響で、街中の喫煙所の閉鎖が進んでいる。密集、密接、密閉の「3密」を満たし、感染拡大の温床となりかねないためだ。ただ、結果として閉鎖を免れた喫煙所に愛煙家が集中し、あふれて敷地外で喫煙する姿も散見される。思わぬ場で受動喫煙を生みかねず、専門家はルールを守るよう求める。

東京都庁の近くの新宿中央公園(東京・新宿)。大型連休明けの昼休み、喫煙所の周囲には250人以上の愛煙家が集まり、たばこを吸っていた。公園管理者がメガホンで喫煙所外で吸わないように呼び掛けたが、ほとんどに無視された。

新宿中央公園(東京・新宿)の喫煙所は外でタバコを吸う人があふれ、閉鎖に追い込まれた

新宿中央公園(東京・新宿)の喫煙所は外でタバコを吸う人があふれ、閉鎖に追い込まれた

区の担当者は「近隣ビルで喫煙所の閉鎖が相次ぎ、公園の喫煙所に集まるようになった」と説明する。喫煙所に入れるのは20~25人。入りきれなかった喫煙者たちの足元には吸い殻が散乱し、市民の憩いの場からはほど遠い。男性会社員(37)は「ダメなのはわかっているけど、ここにしか居場所がない」。収拾がつかなくなり、区は11日に喫煙所を閉鎖した。

新型コロナウイルスの感染防止策として、政府は3密の空間を避けるように呼びかけている。「喫煙所や喫煙室は典型的な例だ」。高崎健康福祉大の東福寺幾夫教授はそう指摘する。

日本禁煙学会(東京・新宿)は3月、感染者との濃厚接触の場になる恐れがあるとして喫煙所と喫煙室の閉鎖を提言した。都内の各区のホームページなどによると、杉並区は5月1日から15カ所の公衆喫煙場所の利用を停止。北区も4月27日から駅前の喫煙所など8カ所を閉鎖した。同学会によると、同様の動きは全国的に広がっている。

北海道庁本庁舎では、敷地内に唯一設けられていたプレハブの喫煙所が4月下旬に閉鎖された。道職員厚生課は喫煙所の窓を開け、「私語厳禁」の張り紙をして感染防止策を講じた。しかし昼時などは混み合い、外で喫煙する人も後を絶たず、閉鎖を決めた。

喫煙所は駐車場の予定地で、もともと5月末に閉鎖される予定だった。閉鎖が前倒しされ、たばこを吸う一般の来庁者からは「廃止するのでなく、どこかに設けてほしい」といった声も寄せられているという。

閉鎖されたJR新橋駅前のSL広場内にある喫煙所(東京都港区)

閉鎖されたJR新橋駅前のSL広場内にある喫煙所(東京都港区)

非喫煙者は受動喫煙が広がらないか懸念する。新宿中央公園で子ども2人と散歩していた阿部瑠理さん(42)は「喫煙所の閉鎖で、歩きたばこをする人が増えるのではないか」と心配する。「決まった場所で吸ってくれた方が小さな子どもを持つ親としては安心」と話す。

分煙社会の実現を目指す「喫煙文化研究会」の山森貴司事務局長は「喫煙を禁止されるような状況は愛煙家にとって過度なストレスとなる」と訴える。喫煙者に対しては「密にならないよう順番に喫煙所を使ったり、自宅で吸ったりと、受動喫煙防止のルールを守ることを心がけてほしい」と求める。

一方、東福寺教授は「マスクを外して手でたばこを触って吸うことから、新型コロナが経口感染するリスクも高い」と説明。「オンラインの禁煙治療も広がっている。これを機に禁煙を考えてみてはどうか」と勧める。

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