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フェス・ライブ中止、音楽創作に影響も

音楽評論家・鹿野淳氏

新型コロナウイルス感染症を受け、音楽ライブやフェスティバル中止が相次いでいる。音楽評論家で、自らもロックフェス「VIVA LA ROCK」のプロデューサーを務める鹿野淳氏に音楽シーンへの影響を聞いた。

「音楽ファン以外でも楽しめるフェスは、音楽マーケットへの入り口として長年大きく貢献してきた。それを失うのは音楽シーンや音楽自体にとっても大きな痛手だ。万が一、この夏を含めてフェスがない年に今年がなってしまえば、それはフジロックフェスティバルが始まった1997年以来初めてのことになる」と語る。CD市場が縮んでいることを受け「フェスやイベントの中止も問題だが、さらに痛いのはあらゆるライブができていないこと。音楽業界はライブが収益の柱に変わっていたタイミングで、この事態は不運を伴っている」と指摘する。

若者を中心とした音楽シーン全体にも大きな影響が及びそうだ。鹿野氏は「手を振ったり体を揺らしたり大声で叫んだり、熱く自由に楽しむというフェスの醍醐味が、『ウィズコロナ』や『アフターコロナ』というルールに縛られる中で、当分の間はなくなるかもしれない」と懸念。「新たなルールの中でフェスやライブの楽しみ方が変わることで、ロックやポップ音楽の作り方までが抜本的に変わる可能性がある」と影響は楽曲の創作面にまで及ぶ可能性があると指摘する。

音楽評論家で、フェス「VIVA LA ROCK」のプロデューサーを務める鹿野淳氏

「2010年代は、フェスのニーズに対応するためのノリが良く大勢で一体感を伴って盛り上がれる音楽が流行した。そもそも時代観が変わった20年代は、『ウィズコロナ』『アフターコロナ』の状況下で座ったまま非日常感や感動や熱気を味わえる音楽や、アーティストと自分がフィジカルよりも心の中で一対一でつながれるような音楽がブームになる可能性がある」と鹿野氏。

オンラインでの音楽ライブについては「最低限の人数がライブハウスやスタジオなどの施設に集まり、無観客でそのセッションやライブを配信するような動きは、すでに増えている」としながらも「それはあくまでもこの状況下でシーンや音楽を殺さない、状況を少しでも維持する手段にすぎない部分も大きい。そもそもライブエンターテインメントは、ネットが日常の多くを占めれば占めるほど、その反対側にある体感とか生身を多くの人々が求めてマーケットが大きくなっていった。

そういった人間の本能の中でライブとオンラインライブは別のベクトルに値するものなので、ライブと同じような効果や収益を上げるのは難しいのではないか。むしろ今後オンラインライブは、ネットやSNSや人工知能(AI)や動画サイトとの連動で新しいバーチャルな音楽マーケットを作るはずだし、それを期待したい」と指摘する。

新型コロナウイルスのワクチンや治療薬などが確立されなければ、21年以降の開催もまだ見通せない。鹿野氏は「1年後にこれまでと同じフェスや音楽ライブができるとは、今の時点ではとても思えない。今までのフェスは、大勢の人の一体感を味わうのが魅力だった。同じ魅力をこれから求めるのが難しいならば、フェスの役割がそもそも何なのか考え直して、再構築しなくてはならないだろう」と話す。

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