行き場ないカンパチ20万匹、ネットで販売 四国の産地

2020/5/22 21:01
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カンパチをPRするマスコットの「しんじょう君」(22日、高知県須崎市)

カンパチをPRするマスコットの「しんじょう君」(22日、高知県須崎市)

新型コロナウイルスの影響で飲食店の休業が相次ぐ中、四国の高級養殖魚の産地が流通の止まった逸品を家庭の食卓に売り込もうと動き始めた。高知県須崎市は、官民一体となりカンパチ20万匹をインターネットで販売する。マダイ生産日本一の愛媛県宇和島市は、松山市内の小売店で販売促進を行い、県内での地産地消で事業者を支える。

須崎市と、同市野見湾でカンパチを養殖する野見漁業協同組合は22日、湾全体で出荷が止まっている20万匹を活用し、刺し身にしたり、薄くスライスしたりした生鮮品の販売をネットの通販サイトで始めたと発表した。

従来の卸業者を通じた飲食店や料亭、ホテル・旅館などの業務用ルートに加え、一般消費者向けの新たな販路を開拓する。須崎市は市の特産物を取り扱う民間サイト「高知かわうそ市場」を市のホームページに掲載し、売り込む。一匹まるごと使った12~16人分の刺し身は6888円(税込み、送料別)。野見産の一匹の卸売価格より3割ほど安い。

同組合はネット通販での売り上げ増を目指し、6月12日までツイッター上で野見産カンパチの愛称を公募する。「全国の卸売市場では『野見湾のカンパチ』として有名だが、一般消費者には無名」(西山慶組合長)のため、愛称を普及させブランド力をつける。須崎の人気マスコット「しんじょう君」もツイッターで応募を呼びかける。

西山組合長は「営業自粛でカンパチは行き場を失った。このままでは廃棄処分も考えなければならない。年間1億円以上の餌代も負担になっていて事業存続が難しい。徹底した品質管理で、くさみのない滋味あふれる食感を追求してきたが、卸売業者に販路を頼ってきた」と自戒した。

高級店の引き合いが強かったカンパチだけに、品質には自信があるという。刺し身はもちろん、しゃぶしゃぶやカルパッチョ、カリッと焼き上げたムニエル風などを家庭で手軽に味わってほしいとしている。

■宇和島のマダイ、県内で販促キャンペーン

養殖マダイ生産量日本一の愛媛県宇和島市は、コープえひめ(松山市)と協力して、生産者を応援する販促キャンペーンを始めた。松山市内5店舗に特設コーナーを設置し、2キログラム前後のマダイや、切り身、短冊などを通常の半額程度で販売する。市担当者は「身が引き締まり、うま味や甘味も感じられる。ぜひ家庭で味わってほしい」と力を込める。

養殖マダイはコロナ禍で、大都市部の飲食店への出荷や海外輸出が滞り、生産者は苦しい状況に置かれている。宇和島市がSNS(交流サイト)などで展開する産地応援企画「♯鯛(タイ)たべよう」の一環として、コープえひめが協力した。流通コストなどを抑えることで低価格で販売し、消費拡大を図る。

コープえひめは6月3日までの期間中、普段より多い販売を目指す。市もマリネやグラタンなど約40品目のレシピを配布して後押しする。市担当者は「切り身と生卵、薬味をご飯にのせて食べる『宇和島鯛めし』などがおすすめ。マダイ以外の魚のPRにもつながれば」と期待する。(保田井建、棗田将吾)

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