苦境の繁華街、深夜営業再開 「従業員守れない」

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関東
社会・くらし
2020/5/22 19:03 (2020/5/22 21:21更新)
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緊急事態宣言が続く中、明かりがともる東京・新橋の飲食店(22日午後6時25分、東京都港区)

緊急事態宣言が続く中、明かりがともる東京・新橋の飲食店(22日午後6時25分、東京都港区)

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う営業自粛から、繁華街で深夜営業を再開する飲食店が目立ち始めた。東京都など5都道県では緊急事態宣言が継続中だが、長引く休業要請に多くの店舗が経営難にあえぐ。ただ最近は感染者数の減少による安心感も手伝ってか、途切れがちだった客の姿も。店主らは「このままでは従業員を守れない」と苦しい胸の内を明かす。

「サラリーマンの街」で知られる東京・新橋。週末を控えた22日、JR新橋駅近くの飲み屋街では日が落ちる前からスーツ姿のサラリーマンらが目立ち始めた。多くの店舗が都の休業要請を受けて午後8時に閉店する一方で、営業を続けて満席状態の店も。2軒目を求めて練り歩くグループには、「夜12時までやってます」と呼び込み営業をする飲食店員もいた。

緊急事態宣言は21日に大阪など関西の3府県で解除となり、東京都など残る地域について、国は25日に解除の可否を判断する。解除が決まった場合、都は感染状況に応じて段階的に時短営業の要請を緩和し、26日から、午後8時までとしていた営業時間を午後10時まで延ばす方針だ。

だが最近は緩和を待たず、深夜帯の営業を再開する店が目立ち始めた。

11日から、営業時間を午後8時から午後11時に延長した新橋駅近くの焼肉店もその一つ。20代の男性店長によると、大型連休後は深夜も明かりをともす飲食店が増えてきたため、自分の店でも営業時間を延ばしたが客の入りはまだ芳しくないという。

それでも「感染症対策は十分にやっており、夜10時も11時も変わらない。これ以上、自粛を続けていたら、従業員を守れない」。宣言解除で街の経済が回り出さない限り、厳しい状態は続くと覚悟する。

都は休業や時短営業など要請に応じた事業者に今月から協力金50万~100万円の支給を始めたが、「家賃分にもならない」とこぼす経営者は少なくない。

「深夜は大事な稼ぎ時。協力金だけでは持ちこたえられない」と話すのはチェーン系の海鮮居酒屋の男性店長。長引く休業要請に耐えきれず、数日前から、営業時間を午後11時まで延ばした。ただ競合店も営業時間を延ばしており、売り上げ回復は容易でない。「(協力金を受け取れなくても)少しでも営業時間を延ばす方がまし」と話す。

この日、新橋を訪れた20代の男性会社員は4カ月ぶりに同僚と集まって飲み会を開いた。繁華街を出歩くことは「緩み」と指摘されることもあるが「大阪などでは緊急事態宣言が解除されたし、東京も感染者数が減ってきた。もう大丈夫では」と、2次会の店へと向かった。

一方、新橋で長年、和食店2店舗を営む男性(67)は4月以降、1店舗の営業を完全に中止し、もう1店舗は5月18日からランチ営業のみ再開した。苦境が続くなか、家賃や人件費など月約450万円の固定費が重くのしかかる。

それでも再開に踏みきれずにいるのは「団体客が多く、万が一のことがあれば店の信用にかかわる」からだ。安心して営業できるまでギリギリまで待つ構えだが、「あと1カ月が限界」という。相次ぎ他の飲食店が深夜営業を再開していることには「経営者には事情があり、仕方のないこともある」と話した。

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