富士フイルム前期、コロナ禍で踏みとどまる9%減益

エレクトロニクス
2020/5/22 19:01
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富士フイルムホールディングスは22日、2020年3月期の連結純利益が1249億円で前の期比9%減少したと発表した。精密各社が新型コロナウイルスの影響で業績を大幅に悪化させる中では踏みとどまったともいえる。いち早く事務機器事業の構造改革を進め、ヘルスケア分野を強化してきた経営戦略が効果を発揮している。

富士フイルムはヘルスケア分野に力を入れている

売上高は5%減の2兆3151億円、営業利益は11%減の1865億円だった。コロナは260億円の営業減益要因となった。同日に開いたオンラインの決算説明会で、助野健児社長は「新型コロナの影響がなければ過去最高の営業利益を更新していた」と述べた。

精密各社の業績は事務機器とカメラの失速で厳しい。コニカミノルタはコロナによる外出自粛が広がって事務機器の設置などが遅れ、20年3月期は14年ぶりの最終赤字に転落したもようだ。

カメラ市場を見るとスマートフォンとの競合に加えて卒業式や展示会などのイベントが開かれず、3月の世界デジタルカメラ出荷台数は前年同月の半分となった。ニコンは20年3月期の純利益が89%減少したようだ。

一方で、富士フイルムは事務機器を手掛ける富士ゼロックスが業績をけん引した。他社に先駆けて18年3月期から人員削減や拠点の統廃合など構造改革を進めてきた効果で、営業利益を181億円押し上げた。事業別の営業利益は9%増の1050億円となった。19年11月に富士ゼロックスを完全子会社化したことで、少数株主利益の流出を抑えた効果もある。

カメラ関連の不振は他社と同様だ。デジカメやチェキでコロナの打撃を受け、イメージング事業の営業利益が半減した。ただしカメラ事業への依存度は低いため、影響は限定的だった。

ヘルスケア事業も業績を下支えした。コロナの流行で、診療に使うX線撮影装置や超音波診断装置の受注が伸びた。その半面で病院への営業活動の自粛や商談の遅延が発生し、事業別の営業利益はほぼ横ばいだった。今後は7月にも日立製作所からコンピューター断層撮影装置(CT)などを手掛ける画像診断機器事業の買収を完了し、業績に寄与する見込みだ。

「新型コロナの終息がいつになるか読めない」(助野社長)との理由で、21年3月期の業績予想は未定とした。事務機器事業では在宅勤務の拡大で消耗品を使う量が減るとされているが「思ったほど減っていない」(助野社長)。在宅勤務や自宅学習はパソコンやタブレットの需要を拡大させ、液晶パネル向けフィルムの販売も伸びている。

コロナ治療薬として期待される「アビガン」は現在、規制当局と承認申請についての協議を進めている。感染拡大がいったん収束した後に「第2波、第3波が来るのかなどを見通せない」(岡田淳二取締役)と述べ、業績への影響は読めないとの姿勢を示した。

(花田幸典)

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