積水化学の新中計、コロナでもM&Aに最大3000億円

環境エネ・素材
2020/5/22 17:47
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積水化学工業は22日、2022年度を最終年度とする3カ年の中期経営計画を発表した。前中計の実績と比べて2倍以上となる4000億円を最大とする戦略投資枠を設け、このうち3000億円をM&A(合併・買収)に充てる計画。航空機や環境関連など既存事業とのシナジーを意識した積極投資で、30年度には現状の2倍弱となる売上高2兆円を目指す。

新中計について説明した積水化学の加藤敬太社長

「負債を活用してでも成長投資をする」。積水化学の加藤敬太社長は同日、コロナ禍でも長期的な成長を見据えた投資は怠らない姿勢を見せた。30年度までの長期ビジョンでは成長投資や研究開発費に総額2兆円以上を投じる目標を掲げた。

新中計期間中のM&Aは「長期ビジョンの達成を目指した仕込み」(加藤社長)と位置づける。投資枠は前中計の実績である782億円から3000億円へと大幅に拡大した。シナジーを重視して投資先を選別し、海外展開への足がかりとなる企業の買収も視野に入れる。

新中計では新たに事業評価の尺度としてROIC(投下資本利益率)を導入した。「負債も活用するためには責任を持って投資を回収する必要がある」(加藤社長)とこれまで以上に資本効率を意識する方針だ。ROICは22年度に19年度より約1%高い8.6%にする目標。

22年度の売上高は19年度実績比で8%増となる1兆2200億円、営業利益は同25%増の1100億円を目指す。営業利益の目標は新型コロナウイルスの影響を踏まえて100億円程度、当初計画から引き下げた。新型コロナの影響については「平常に戻るまで1年はかかるだろう」(加藤社長)と見込む。20年度は基盤固めに努めて、21年度以降、成長軌道にのせていく考えだ。

新型コロナウイルスの影響を強く受ける高機能プラスチック事業は高付加価値品の拡販によって22年度に19年度比12%増の売上高3600億円を目指す。19年度に買収した米航空機大手ボーイング向けの部材などを手掛けるエアロスペースでは主力の外装部材だけでなく、収益性の高いエンジン部材の比率を高めていく。

屋台骨の住宅事業は国内市場の縮小が続くことが課題。比較的需要が堅調な低価格帯の分譲戸建ての比率を高めて収益を確保する計画。閑散期に建築できることから工場の安定的な稼働にもつながると見込む。22年度の売上高は19年度比7%増の5480億円にする目標。

4月末に発表した積水化学の21年3月期の連結純利益の見通しは前期比26%減の435億円。新型コロナウイルスの感染拡大で生産が滞る自動車、航空機向け素材や住宅関連の販売の減少が予想される。コロナ禍に耐えながら長期的な成長に向けて投資を続けていく。(岩野恵)

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