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トヨタ、在庫あえて31日分の余裕 震災教訓に柔軟対応

トヨタ決算を読む

「2009年に社長に就任して以降、数多くの危機に直面し乗り越えていく中で、トヨタの企業体質は少しずつ強くなってきた」。12日の決算記者会見で、トヨタ自動車の豊田章男社長はこう振り返った。危機対応で焦点のひとつがサプライチェーン(供給網)だ。

トヨタは11年の東日本大震災やタイの大洪水を教訓に供給網を見直し、仕入れ先の部品生産の状況をほぼリアルタイムで把握。代替生産できるように拠点の分散を進めてきた。コロナ禍で各国・地域の移動制限や都市封鎖で部品供給網が切れることがあったが、耐性は過去より上がっている。 棚卸し資産回転日数を見るとはっきりする。原材料を仕入れて生産、販売まで何日かかるかを示す指標だ。トヨタの20年3月期は31日と、ホンダ(38日)、マツダ(46日)スバル(47日)に比べて短い。日産の19年3月期は40日程度だった。

生産・販売が滞り、在庫を抱え込むと資金繰りを圧迫し、少なすぎても注文にすぐ応じられなくなる。トヨタは同業より短いタイムスパンで操業しながら、リーマン前の好況期だった08年3月期(25日)に比べると在庫はやや膨らんだ計算だ。

一概に評価はできないが、悪い在庫ではなく、あらかじめ有事に備えた余裕を持たせているという見方が多い。東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストは「グローバル化で供給網が広がったことも背景にある」と指摘する。

こうした評価を裏付けるように、トヨタの21年3月期はグループ総販売台数(日野自動車、ダイハツ工業含む)は前期比15%減の890万台、連結営業損益は5000億円の黒字を見込む。台数の落ち込みはリーマン直後の09年3月期(12%)より厳しいが、赤字だった当時より収益力は高まっている。足元の手元資金(現預金と有価証券などの合計)は6兆円規模と倍増している。

トヨタは4月を底に、年後半から新車市場が持ち直すという前提で今期の業績計画をたてた。需要の復調下で供給網や在庫をどうコントロールするか実力が問われる。

参考になりそうなのが、車体や部品の設計・開発を共有化する新設計手法「TNGA」だ。15年発売の4代目プリウスから導入し、クラウンやカローラ、RAV4といった主力車種に総じて展開が進んだ。

TNGAは異なる車種間で共通部品が増えるため、生産設備の共有化も進む。「導入前のモデルに比べ1ライン当たりの設備投資と開発工数は25%、車両原価は10%それぞれ下がった」。昨年8月、開発担当の吉田守孝副社長(当時)は成果を強調した。

「リーマン時を上回る」(豊田社長)というコロナ禍を乗り切れば、新たなトヨタの成長が見えてくる。(藤岡昂)

=おわり

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