Googleマップ、車いす対応の場所を表示

BP速報
2020/5/22 18:00
保存
共有
印刷
その他

日経クロステック

米グーグルは21日(現地時間)、障害を持つ人や高齢者などを含めたあらゆる人々を対象にした「アクセシビリティー(利用のしやすさ)」の強化に向けて、モバイル端末や地図アプリ「Googleマップ」向けの新機能を発表した。同社は以前からディープラーニング(深層学習)などを活用して、端末やアプリのアクセシビリティー向上を図ってきた。今回もその一連の取り組みの中にある。

新たに導入する機能は大きく4つある。第1に、Googleマップでの車いすのアクセシビリティーに関する情報を見やすくしたり、投稿しやすくしたりする「アクセシビリティー・プレイス(車いす対応の場所)」機能である。

例えば、同機能をオンにして、アプリ内で近くの食料雑貨店を検索すると、入り口やトイレ、駐車場などが車いす対応している店だけを検索結果に表示する。Googleマップでは、店や場所などに関する情報をユーザーが投稿できる。今回、アクセシビリティーの情報を投稿する際、項目をタップして同情報を選択・投稿できるようにした。

「アクセシビリティー・プレイス」機能をオンにして、Googleマップで近くの食料雑貨店を検索した結果(出所:グーグル)

「アクセシビリティー・プレイス」機能をオンにして、Googleマップで近くの食料雑貨店を検索した結果(出所:グーグル)

グーグルによれば、世界中で車いすを必要とする人は1億3000万人以上おり、かつ階段の上り下りが困難な米国人は3000万人に達するという。1日2000万件ほど行われているGoogleマップの投稿・編集の中で、車いすのアクセシビリティーに関する情報の追加が多いとする。ここ数年で、1500万カ所以上で車いすのアクセシビリティーの情報が投稿された。この件数は、2017年以来で約2倍の数字だという。

アクセシビリティーに関する情報は、車いす利用者だけでなく、ベビーカーを押している人、高齢者、重い荷物を運んでいる人など、多くの人に利点がある。特に新型コロナウイルスの感染が広がっている現状では、ソーシャルディスタンス(社会的距離)を確保するために、食料品店やドラッグストア、テークアウト販売するレストランの外などで、人々が立ち往生しないようにアクセシビリティーについて事前に知っておくことがますます重要になっている。

この機能は、まずはオーストラリア、日本、英国、米国のGoogleマップユーザーが対象。順次、提供地域を拡大していく。

■1タップでビデオ通話

第2の新機能は、同社の基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した端末用の「アクションブロック」である。従来であれば、機能を動作させるまで何段階かの操作が必要だったものを1タップで済むようにするというものだ。

複数段階を要する操作は、認知機能に障害を持つ人や加齢によって認知機能が低下した人たちには覚えるのが難しい場合がある。そこで同機能では、従来、数段階を要していた操作を1タップで済むようにできる。電子機器の操作に不慣れた人にも便利な機能と言える。

例えば、通常はビデオ通話する場合、まずビデオ通話用アプリを起動して、次に話し相手の名前を入力して検索。続いてその相手の名前がリストに出たら、それを選択してコールする。

アクションブロック機能を使えば、特定の相手に対するビデオ通話を行うアイコン(ボタン)をつくり、それをアンドロイド端末のホーム画面に配置できる。そのアイコンをタップすれば、その相手を呼び出すことができる。

アクションブロック機能でつくったアイコンをホーム画面に設置した例(出所:グーグル)

アクションブロック機能でつくったアイコンをホーム画面に設置した例(出所:グーグル)

ほかにも様々な操作に対応しており、動画の再生や音声アシスタントを通じた家庭内の機器の操作も可能だという。作成したアイコンの画像を編集できるので、一目でどの操作に対応しているかを分かりやすくできる。例えば、ビデオ通話であれば、話し相手の顔写真をアイコン画像にすればいい。

■文字おこしアプリも進化

第3の新機能が、クラウド型の文字起こしアプリ「音声文字変換」の機能拡張である。話し相手の発話内容をリアルタイムで文字に起こしてスマートフォンに表示させる。耳が聞こえない、あるいは音声の聞き取りが困難な人に向けて、会話をスムーズに行えるようにすることを主な目的にして開発したアプリだ。

世界保健機関(WHO)によれば、聴覚障害、あるいは聞き取りが困難な人は18年時点で、世界におよそ4億6600万人いるという。その後も増え続け、50年には9億人に達すると予測している。それだけに、音声文字変換のようなアプリが今後ますます重要になるとグーグルはみており、同アプリを随時向上させていく方針を採る。ユーザーからのフィードバックを基に、新たに4つの機能拡張を実施した。

1つめは、近くにいる人が名前を呼ぶと、スマホが振動する機能。2つめは、一般的な辞書にはない名前や地名、料理名などを文字起こしできるようにする機能である。

例えば、米国の日本食レストランで「揚げ出し豆腐(Agedashi Tofu)」を頼んでも、一般的な英語ではないので文字起こしが難しい。そこで、こうした用語をあらかじ登録しておくことで対応する。

3つめは、過去の会話記録の検索を容易にした。設定画面で「文字起こしの保存」をオンにすると、文字おこしのデータが端末側に3日間保存され、そこから検索できる。4つめは対応言語の増加である。ビルマ語やエストニア語、モンゴル語など7つの言語を新たに加えた。この結果、70超の言語に対応した。

第4の新機能が、ヘッドホンなどで再生する音声を聞き取りやすくするアプリ「音声増幅」のアップデートである。近距離無線通信規格「Bluetooth(ブルートゥース)」で接続するヘッドホンにも対応するようになった。

(日経BPシリコンバレー支局 根津禎)

[日経クロステック 2020年5月22日掲載]

保存
共有
印刷
その他

日経BPの関連記事

電子版トップ



[PR]