NY州の外出制限2カ月、検査身近に 郊外移転も

北米
2020/5/22 3:09
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クリニックで気軽に新型コロナの検査が受けられるようになった

クリニックで気軽に新型コロナの検査が受けられるようになった

【ニューヨーク=吉田圭織】ニューヨーク州が新型コロナウイルスの拡大抑制で外出制限を始めてから22日で2カ月。新規感染者数は4月のピークから落ち着き、検査も手軽に受けられるようになった。マスクをしながらの買い物は生活の一部として定着した。州内では経済活動の再開が一部地域で始まったが、中心部のニューヨーク市はまだ対象外だ。制限の大幅な緩和は当面見込めず、郊外への移転を検討する人が増えている。

「検査はとても簡単だ」。毎日欠かさず記者会見を続けるニューヨーク州のクオモ知事は5月17日の会見でこう述べ、その場で自ら検査を受けてみせた。同州では1日あたり4万件の検査に対応している。

検査は確かに身近になった。記者は自宅近くのクリニックで抗体検査とPCR検査を同時に受けた。抗体検査では試験管1本分を採血された。顔全体をマスクで覆った医師は「指先採血は正確じゃないから」と話していた。もうひとつのPCR検査は鼻咽頭スワブを鼻の奥まで突っ込まれる。想像していた以上に不快で、思わず目を閉じてしまった。

最近は検査を受ける人が増え、クリニックの受付の男性には「通常は3日から5日で結果が出る。1週間かかる可能性もある」と言われた。結果が届くまで不安な日々が続くのかと構えていたが、スマートフォンに通知が届いたのは検査からわずか2日後。専用のウェブサイトで確認すると「negative(陰性)」だった。

記者は3月下旬から在宅で勤務している。同様に在宅勤務が長引いている人の間では足腰の痛みを訴えるケースが増えている。

「手首をぶらぶら回して」「家の中だけでもいいので1日4000歩、30分くらい歩いてみて」。ニューヨーク市在住の内科医師はスマホの画面を通じて患者と対話するオンライン診療で忙しい。「外出制限による運動不足で、身体の不調を訴える人が増えている」といい、15分ごとの予約はすぐ埋まる。

シェア自転車のシティバイクの利用も増えている

シェア自転車のシティバイクの利用も増えている

5月に入ると気温も上がり、外を出歩く人が増えた。中でも人気なのが自転車だ。「ここ1~2週間は特に忙しい」。ミッドタウンの自転車販売店キックスタンドの店員は笑う。1番安い370ドル(約4万円)の自転車は真っ先に売れ、在庫切れが近い。今年の売り上げは現時点で例年の2倍だという。

ニューヨークの地下鉄は清掃と消毒のため深夜から未明の運行を中止した

ニューヨークの地下鉄は清掃と消毒のため深夜から未明の運行を中止した

地下鉄は24時間運行をやめた。外出制限でミュージカルや美術館、多彩なレストランなどニューヨーク市の都心ならではの魅力は薄れた。子供たちは学校に通えないままだ。

このため、都心を離れようという人も目立つ。4月末にはニューヨークに在住し、郊外への移転を検討するフェイスブックのグループが立ちがり、3週間で約3000人のメンバーが集まった。「ニュージャージー州の学区はどこがおすすめ?」「引っ越し業者はどこを使った?」といったやり取りが交わされている。ブルックリン在住で3歳の子供を持つ30代の女性は「子供を混雑する公園に連れて行くのは怖い。自宅に閉じ込められてストレスをためている。子供のためにも郊外への移転を真剣に考えている」と話す。

閉鎖された公園も多く、子供が遊べる場所は限られている

閉鎖された公園も多く、子供が遊べる場所は限られている

「長い夏をどうしたらいいのか分からないわ」。ニューヨーク州北部のサリバン郡在住のヘザーさんは嘆く。10歳になる娘が毎年通っていたサマーキャンプが中止になり、2か月半もある夏休みをどう過ごさせるかが大きな課題だ。

友達と遊べず、子供はストレスをためている=ロイター

友達と遊べず、子供はストレスをためている=ロイター

子供を泊まりや通いのキャンプに送るのが、中流以上の家庭では夏休みの定番の過ごし方だ。ネット上でバーチャルキャンプを企画するところもあるが、子供が家にとどまっていることに変わりない。外出制限が緩和されても学校や子供を預かるキャンプが再開しない限り、在宅勤務を続けざるを得ない。そんな悩みが広がっている。

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