米失業保険申請さらに243万件 雇用悪化止まらず - 日本経済新聞
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米失業保険申請さらに243万件 雇用悪化止まらず

【ワシントン=河浪武史】米労働省が21日発表した失業保険の新規申請件数(季節調整済み)は、16日までの1週間で243万8千件となり、前週(268万件)並みの高い水準だった。新型コロナウイルスが深刻になった3月半ば以降、申請数は9週間で3800万件を突破。米労働市場では5人に1人以上が職を離れた計算になり、失業率は大恐慌時並みの20%に達する可能性もある。

失業保険の申請数は市場予測(約240万件)とほぼ同じ水準だった。週600万件強を記録した3月下旬に比べてやや減速したものの、新型コロナの発生前は1982年の週69万件が最大で、足元の雇用悪化は過去例のないスピードだ。

3月時点の米労働人口は1億6300万人だった。失業保険の申請数から推測すると、2カ月強で5人に1人が離職したことになる。4月の失業率は14.7%と既に戦後最悪の水準だが、5月は20%に達して1930年代の大恐慌時並みとなる可能性がある。

大恐慌時は失業率が1933年5月に25.6%まで上昇し、10%を再び下回ったのは40年代に入ってからだ。今回は経済活動が徐々に再開し始めており、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は「失業率は7月以降、低下していくだろう」と指摘する。

もっとも、米労働市場そのものの復元には時間がかかりそうだ。米議会予算局(CBO)も2020年後半から雇用情勢が改善すると指摘するが、失業率は10~12月期時点でも11.5%と、08~09年の金融危機時のピーク(10.0%、09年10月)より高い。

CBOは21年10~12月期時点でも8.6%と予測しており「持ち直しは鈍い」とする。感染リスクを恐れて消費者が人混みを避け、飲食や旅行などの事業は十分な回復が見込めないためだ。

新型コロナによる雇用ショックは、とりわけ低所得層に広がる。4月の雇用統計では、店内営業が制限された飲食産業の就業者数が前月比549万人減と大きな影響を受けた。小売業も211万人減ったが、いずれも賃金水準の低い時給労働者らが多い。FRBの調査では、年収4万ドル以下の世帯では40%が一時解雇や帰休を迫られて職を離れたという。米経済の問題点である所得格差が一段と広がるのは避けられない。

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