トルコ、リラ取引規制強化 利下げは継続 資金流入減も

トルコショック
2020/5/21 20:34
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新型コロナ禍でトルコリラは売られている(8日、アンカラの両替店前)=AP

新型コロナ禍でトルコリラは売られている(8日、アンカラの両替店前)=AP

【イスタンブール=木寺もも子】トルコ中央銀行は21日、主要な政策金利の1週間物レポ金利を0.5%下げ、8.25%とした。利下げは9会合連続。拙速な利下げや新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済の収縮が嫌気され、通貨リラは年初から対ドルで1割超下落している。リラ防衛のため、金融監督当局は外国市場でのリラ取引や金融機関の情報発信の制限に動くが、外国からの資金流入を細らせる懸念は拭えない。

景気刺激のため、一連の利下げが始まった2019年7月以降、利下げ幅は計15.75%に達する。政策金利は直近のインフレ率(11%)を大きく下回る。年初からのリラの下落率は一時18%に達し、18年夏の通貨危機「トルコショック」で記録した最安値を更新した。

間接的にリラを買い支える中銀の外貨準備は枯渇が懸念されている。中銀は20日、カタールとの通貨スワップ協定の規模をこれまでの50億ドル(約5400億円)から150億ドルに拡大したと発表した。スワップ協定への期待で、リラ相場は足元で持ち直すが、カタールリヤルは市場でドルと自由に交換できず、効果には限界も指摘される。

リラを防衛したい当局はリラ取引を巡る規制拡大を進めている。国内の金融機関に対し、18年には自己資本の50%までとしていた外国金融機関とのリラ取引の上限を度重なる規制変更で縮小させ、今月にはわずか0.5%とした。みずほ銀行欧州資金部の本多秀俊シニア為替ストラテジストは「市場でのリラの取引規模はかなり縮小しているはずだ」と指摘する。

米ブルームバーグ通信は18日、フランスの大手銀BNPパリバが顧客に対して新規のリラ取引受け付けを停止したと報じた。トルコの金融監督当局が7日、国内金融機関に対しBNPパリバ、米シティグループ、スイスのUBSグループの3行とのリラ取引禁止を命じ、3行をリラ市場から事実上締め出したためだ。

当局はその後、7日の禁止命令を解除したが、3行がリラ相場の操作を行っていなかったか、調査するとして圧力をかけ続けている。

こうした締め付けは短期的にリラ相場を安定させるが、トルコ国債などへの投資控えにつながる。経常赤字のトルコにとって、海外からの投資は国内で不足する資金の埋め合わせに不可欠で、副作用は無視できない。

投資判断の材料となる情報も入手が難しくなっている。当局は7日、「誤解を招く情報や誤報」の流布を「市場操作」の一環とみなし、罰則付きの規制対象にすると明らかにした。

ある地元金融機関のアナリストは「リラ相場についてのコメントは非常に難しくなった」と語る。勤務先からも対外的な発言に注意するよう指示があったという。

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