セーレン、最高益も車資材は減益 エレキ分野など拡充

環境エネ・素材
北陸
福井
2020/5/21 19:30
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セーレンが21日発表した2020年3月期の連結純利益は、前の期比4%増の85億円だった。最高益を更新したが、法人税減少の影響が大きく、主力の車両資材事業の営業利益は2%減った。米中貿易摩擦に新型コロナウイルス感染拡大の影響が重なったためだ。同社は自動車部門への依存度を下げるため、エレクトロニクス分野などへの開発投資を急いでいる。

「危機をどう乗り越えるか、全社を挙げて取り組んでいる」と話す川田会長(21日、福井市)

川田達男会長は同日の記者会見で「危機をどう乗り越えるか、全社を挙げて取り組んでいる」と強調した。21年3月期の業績予想は未定。多くの完成車メーカーが業績予想を開示しておらず、資材を供給するセーレンも影響が読み切れない。第1四半期が終わってから公表したいという。

自動車生産は中国で再開されつつあるものの、北米やアジアの動きは鈍い。セーレンの国内外にある工場の稼働率は5割程度にとどまる。カーシートやシートベルトの生地など車両資材事業は同社の営業利益の約6割を稼ぐ。最高益を出したとはいえ本業は苦しい。

受注減少に伴い、日本の工場と事業所の約3000人の全従業員を対象に、1週間のうち平日1日を休ませる一時帰休を導入した。休業手当は国の雇用調整助成金に同社が上乗せして支給する。一時帰休は11年の東日本大震災以来となる。

先行きが不透明ななかで期待をかけるのは、エレクトロニクスやメディカルといった非自動車部門だ。同社は合わせて約46億円にとどまるメディカルなどの利益を、10年後に3倍とする計画を掲げている。同社は繊維染色加工から車両資材に主力を移してきた。川田会長は「時代に合わせた変化のため準備してきた。成長のための開発投資は止めない」と明言した。

新型コロナ感染拡大によるテレワークや巣ごもり需要の増加を受け、スマートフォンやタブレットに使われる導電性繊維などが伸び始めている。ハードディスク資材は売上高が3倍になった。今後は次世代通信規格「5G」のデバイス向け半導体製造技術の開発にも力を入れる。

21年3月期の設備投資は前期比55%増の62億円を予定する。生産ラインの効率化など設備のスクラップ・アンド・ビルドが中心となる。新型コロナの感染拡大前から計画しており変更しない。

川田会長は「新型コロナの終息後にまったく違う価値観が表れるのではないか」と予想する。バブル崩壊やリーマン・ショックのあとは、失った利益を取り戻すのに数年かかったという。苦しい状況のなかにあって、どれだけ将来の備えをできるかが成長を左右する。

(鈴木卓郎)

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