日本には投資したい割安株がたくさんある(窪田真之)
楽天証券経済研究所長兼チーフ・ストラテジスト

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2020/5/22 2:00
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写真はイメージ=PIXTA

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新型コロナショックで、世界経済は急激な悪化に見舞われています。それでも世界の株式市場は、少し落ち着きを取り戻しています。従来なら開発に5~10年かかった治療薬やワクチンの開発が、1~2年で進みそうな情勢であることが希望の灯となっています。人類は1年後には新型コロナ克服術を獲得しているのではないでしょうか?

とはいえ、足元の株価上昇はややピッチが速すぎる気はします。経済が再開される期待が株価を押し上げてきましたが、ウイルス感染の二次拡大リスクはなお残っているからです。

私は、長期的には日本株は買い場と判断していますが、短期的にはまだ波乱があると考えています。こんな時、日本株の投資をどうしたらよいでしょうか? まずは、株価が十分に下がった割安株から投資したら良いでしょう。日本では成長株がなかなか見つかりません。成長が期待されるIT分野は過当競争で明確な勝ち組がなく、バイオ分野は欧米に出遅れています。

その代わり、日本では、堅実経営で財務良好、収益基盤が堅固なのに、びっくりするほど株価が割安な銘柄がたくさん見つかります。まずはそこから投資した方が良いと思います。

私は過去25年間、日本株のファンドマネージャーをやってきましたが、だいたい成長株2割、割安株8割でポートフォリオを組んできました。もし、日本だけではなく、世界全体から投資銘柄を選ぶならば、日本から割安株を、米国や中国から成長株を探したら良いと思います。

世界中で金利の「日本化」が進んでいます。長期金利がゼロに近づく国が増えています。こうなると、金融業で利益があげられなくなる恐怖が募り、金融株が世界中で売られています。ただ、金融業の利益がすぐに無くなるわけではないので、日本でも世界でも、金融株にはPER(株価収益率)で見て、割安な銘柄が増えています。金融株は割安株として投資していって良いでしょうか?

割安株に投資する際、気をつけなければならないことは、見かけ上のPERが低い「安かろう悪かろう」銘柄をつかまないことです。将来にわたって収益基盤がしっかりしていると考えられるのに、売られている金融株を探さなければなりません。

長期金利が低下すると、金融業の重要な収益源である「長短金利スプレッド」がなくなっていくので、国内商業銀行業務への依存度が高い地方銀行はあまりお薦めできません。ただし、金融業の収益源は「信用スプレッド」「金融に付帯するサービス」などもあり、そこでしっかり利益を稼いでいける候補としてリース、損害保険、カード、消費者金融、信託などがあります。

リース業は物を貸し出すサービス業としての性格が強い「オペレーティング・リース」を強化してきました。自動車やOA機器、医療機器などのリースがその典型です。所有せず、借りるのが主流の時代を迎える中、引き続き成長余地が大きいと考えています。東京センチュリー三菱UFJリースなどに注目しています。

損害保険業も、金利低下のマイナス影響をほとんど受けない業種と考えられます。株価が割安な東京海上HDなどに注目しています。コロナショックで貿易関連の保険が低調ですが、自動車に乗る人が減り自動車事故が減っているので、一時的に自動車保険の支払いは減ると思います。本業はディフェンシブと考えられます。一方、終身保険への依存が大きく、収益の多様化ができていない日本の生命保険会社は、金利低下で利ザヤが低下するので、積極的には投資できません。

カード、個人向け金融事業も、金利低下のマイナス影響をあまり受けない業種です。信用力の高い金融機関が低金利で資金を調達し、信用力の低い個人に高金利で資金を貸すことによって、利ザヤが生じているからです。イオンFSは、イオン・ショッピングセンターの一部が休業している影響が懸念され、株価が大きく下がっていますが、中長期投資の好機とみています。

最後に3メガ銀行グループですが、割安株として積極的に投資したいと判断しています。国内商業銀行業務は長期的に収益低下が避けられませんが、海外収益の拡大と、ユニバーサルバンク経営(証券・信託・リース・投資銀行業務などへの多角化)によって、高収益を保っていくと判断しています。

プロのポートフォリオは運用に精通したプロが独自の視点で個人投資家に語りかけるコラムです。
窪田真之(くぼた・まさゆき)


1961年生まれ。84年慶大経卒、住友銀行入行。87年より大和住銀投信投資顧問などで日本株ファンドマネジャー。2014年楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジスト、15年所長。

[日経ヴェリタス2020年5月24日付]

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