ゴーン元会長逃亡協力、米で2容疑者逮捕 出国目前で

【ニューヨーク=中山修志】米司法当局は20日、日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告の国外逃亡を手助けしたとされる3人のうち2人を、東部マサチューセッツ州で逮捕したと発表した。両容疑者はゴーン元会長が滞在するレバノンに向かう予定だったという。今後の手続きで逃亡劇の詳細が明らかになる可能性がある。

逮捕されたのは米国籍で米陸軍特殊部隊グリーンベレーの元隊員とみられるマイケル・テイラー容疑者と息子のピーター・テイラー容疑者の2人。もう1人のジョージ・ザイェク容疑者については明らかになっていない。
逮捕された2人は20日、米マサチューセッツ州の裁判所のビデオ法廷に出廷したが、ほとんど発言せず、代理人弁護士が今後の司法手続きや日本への身柄引き渡しの条件について確認した。裁判所の判事は、日本から正式な引き渡し要請があれば22日にも改めて審議を行うとした。
両容疑者は2019年12月、ゴーン元会長がトルコ経由でレバノンに逃亡するのを手助けしたとして出入国管理法違反ほう助などの疑いが持たれている。ゴーン元会長を大型の箱に隠してプライベートジェット機に搭乗させ、入国審査官の出国確認を受けずに関西国際空港から出国させたとされる。
米当局によると、両容疑者は3月に中東ドバイからマサチューセッツ州のボストンに入国。日本側の要請に基づいて5月6日に逮捕状が発行され、20日に連邦保安局の特殊作戦チームなどが逮捕した。2人はロンドン経由でレバノンのベイルートに向かう同日出国の航空券を予約していたという。
東京地検は1月、ゴーン元会長の逃亡を手助けしたとして、犯人隠避などの疑いでマイケル容疑者ら3人の逮捕状を取得。米国と日本は犯罪人引き渡し条約を結んでいる。
東京地検の斎藤隆博次席検事は21日、「現地時間の5月20日、米国内で米国当局により、両容疑者の身柄が拘束されたと承知している。現在、当庁で、速やかに引き渡し請求を行うべく準備を進めている」とコメントした。
関連企業・業界